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「鬼畜王じゃないランス2」
(第1部)[1/1]

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鬼畜王じゃないランス2




「ランス王ッ!」

「えっ? バレス将軍と……」

「ハウレーン・プロヴァンスか?」

「はい」


メナドと並んで城内を歩いていると声を掛けられたので、振り返るとプロヴァンス親子が居た。

おっさんの方は戦争では非常に"使える"男だが、ハウレーンの方は正直 微妙だった気がする。

しかし仏頂面ながら物凄く美人なので見とれた為、嘆く様に名を漏らすと軽く会釈するハウレーン。

こりゃ(自称)女を捨てたとは到底 思えない。……っとそんな事より、この意外な遭遇の対処だ。


「メナド副将と、どちらへ参られるのですかな?」

「え〜っと、それはだな〜」

「お、王様……」

「いや隠しても仕方無いな。ちょっくら迷宮にでも潜ろうと思ってる」

「何と!?」

「な、何故 即位して間も無いと言うのに迷宮などに行かれるのですかッ?」

「単純に鍛錬の為にだ。リックにも言ったが大分 鈍ってるからな」

「!? それでは、やはりヘルマンから逃れて来られたと言うのは……」

「バレスも知ってたのか」

「お、王様が……ヘルマンから?」

「どういう事なのですッ?」

「良く聞くのだ2人とも。ランス王はヘルマンにて"悪"と戦われていたが多くの仲間を失い、
 何とか此処リーザスに逃れて来られたのだ。故に捕らえられた仲間達を救う為……そして、
 世界を統一し全世界の人間を救う為に立ち上がられたッ! うぅっ……御立派で御座います」

「いや……別に」


――――只 盗賊をしてたダケなんだが、大方リアが尾鰭を付けバレスが過大評価したっぽいな。


「しかし戦(いくさ)など儂らに任せて置けば良いモノの……自らも強く有ろうとする上……
 あまつさえ、危険な迷宮に潜るなど……ずびっ……爺は感動の余り涙が止まりませぬッ」

「ふわぁ〜」←メナド

「ち、父上。涙と鼻を拭いてくださいッ!」

「すまぬ……ハウレーンよ」

「じゃあ、そう言うワケだから俺達は行くぞ?」

「!? お待ちくだされ、ランス王!!」

「ん?」

「バレス将軍?」

「王さえ宜しければ、娘を……ハウレーンを連れて行っては貰えませぬか?」

「えぇっ!?」

「何だとォ?」

「父上!?」

「あ〜っ、本当に良いのか? 副将が揃って不在になるが」

「王を守るのも勤め。娘にも良い経験になりましょう」

「なら俺は構わないが……ハウレーンは良いのか?」

「御命令と有らば」

「じゃあ!」

「決まりだな。宜しく頼む」

「か、畏まりました(……ランス王には悪い噂も多かったが、所詮は噂だったと言う事か……?)」


そんなワケでバレスの爺さんの御蔭でハウレーン・プロヴァンスも付いて来る事になってしまった。

確か才能限界は30後半 程度だった気がする……十分 人類としては高いから戦力になりそうだ。

勿論 今の彼女からは原作で有った反乱による敵対心は無く、王として認識してくれている様子。

しっかし、イキナリ女性3人と一緒に冒険か〜。かなみとダケの予定が随分とズれちまったなァ。




……




…………




城下へ出ると……メナドとハウレーンと共にアイテムを購入する。主に世色癌3と竜角惨を。

うち竜角惨は高価だが王様なので無問題。ちなみに"まんが肉"はデカくて重いので買っていない。

んで道具屋を出ると"うし車"の手配を終えた かなみが現れたので4人で目的地へと歩いている。


「それにしてもランス」

「なんだ?」

「暢気に迷宮探索なんか していて良いの?」

「……普通に考えたら無いな」

「だったら分かってるでしょ? アンタが王様になって不満を言う貴族の連中も多いわ」

「その辺はマリスに任せれば大丈夫だろ」

「うッ、否定できないかも」


――――実際クーデター後に大きな暴動が起きなかったのも殆どはマリスの御蔭なんだろうしね。


「まぁ、反乱なんか起こす奴等が居ても黙らせてやるけどな(……実際そうしてたし)」

「ハァ……やっぱりランスらしいわ」

「そうか?(……何処がだよ……)」

「…………」×2

「んっ? どうした2人とも」

「え、えぇと……王様と かなみちゃん、随分と仲が良いな〜って」

「彼女はランス王が即位される前からの知り合いだと言う訳ですか?」

「……まぁ、そんな所か?」

「ち、違うでしょッ? 今迄は任務だから組んでたダケ!! 別に仲が良いワケじゃ無いからッ!」

「あぁ、考えてみれば そうだったな」

「えっ? お、王様は納得しちゃうの?」

「むぅ(……ランス王……いまいち分からない方だ)」


≪かなみか? コイツは俺様の女なのだ。がははははははッ≫


「……(普通なら ああ言う筈なのに……や、やっぱりランスらしくない気がする……)」




……




…………




……"うし車"の怒涛のスピードにより俺達4名は4日で"魔物の洞窟"にへと辿り着いた。

そして迷宮へと侵入し、モンスターを蹴散らしながら奥へと進んでゆく。普通に楽勝だな〜。

もし軍隊で攻略するなら一階一階フロアのモンスターを全滅させてから次の階に進んでゆく。

大佐ハニーが纏める強力なダンジョンであれば防御し多くの味方を犠牲にして切り抜けて進む。

だけど今回は両方とも違い、遭遇したモンスターだけを倒す小規模の闘いを繰り返している。


「何か居るな……かなみ、見えたか?」

「あれは"マーダー"よ!」

「お、大きい〜ッ」

「(迷宮ボスだな)メナド、ハウレーンッ! 魔法に注意しろ、初撃は俺が抑える!!」

「はいっ!」

「承知ッ!」

『"ディーゲル"!!』


≪――――ドオオォォンッ!!!!≫


「ぐわっ!?」

「王様!? ……このっ!」

「はぁあッ!!」


流石は迷宮ボスだ、これまでの雑魚とは一味違う。出会い頭の攻撃魔法は結構カラダに堪えた。

まだ弱い部類のボスとは言え、一回の攻撃で20人は戦闘不能にするしな〜。普通じゃ勝てない。

けどリーザス上位のメンバー3人を含む俺達が易々と殺やれるハズは無く2人の騎士が斬り込む!


『…………』

「か、硬い!? 違う、鈍いのかな?」

「それに……詠唱しているのか?」

「かなみッ!」

「――――しっ!!」


"ビスマルク"か"メッサーシュミット"か知らんが大魔法を撃たせると危険なので、
後列のかなみに複数の手裏剣を投げさせる事で、マーダーの詠唱をキャンセルさせた。

ゲームではキャンセルは確率だったが、コレは3人の攻撃によるダメージの蓄積によるモノだろう。

勿論ターン制でも無いのでメナドとハウレーンの剣撃は続き、マーダーは装甲を次々に失う。


『"ディーゲル"!!』


≪――――ドオオォォンッ!!!!≫


「ぐぅっ!?」

「は、ハウレーンさん!?」

「この野郎!!」

「まだ浅いわッ! ランス、そろそろ"何時もの"をしなさいよ!」

「仕方ないな……(恥ずかしいけど)……やってやるか」

『"ディーゲル"!!』


≪――――ズガアァァンッ!!!!≫


「そんなものッ!!」

「かなみちゃん!?」

「メナド、ハウレーンと下がってろ!!」

「うッ……わ、分かりました」


マーダーは既に満身創痍に見え長い詠唱は諦めた様だが、苦し紛れの反撃は強烈だったらしい。

その一撃を食らいハウレーンが吹き飛ばされたのでメナドが気遣い、俺と かなみが攻撃を加える。

しかし巨体は まだ浮遊しているので決定的なダメージが必要らしく、"あの技"を使う時が来たか。

言うのは恥ずかしいので今まで使っていなかったが、かなみが注意を引いている今 急がなければ。

基本的に魔法は必中なんだけど、彼女は俊足と障害物(岩)を旨く利用して魔法を防いでいる様子。

その発想は無かったな〜、流石は現実だ。システムでは到底 無理な事を平然と こなしている。

……って、感心している場合じゃない。俺は一瞬で我に返るとマーダーに向かって走り出す!!


『"ディーゲル"!!』

「クッ……まだなの?」


≪――――ダダダダダダッ!!≫


「必殺!!」

『!?』

「ラーンス・アタックッ!!」


≪――――ドゴオオオオォォォォンッ!!!!≫


『……!? ……ッ……!!』

「す、凄ぉい……」

「これ程とは……」

「ふ〜っ(出来たか)」

「ランスッ! なんで あんなに遅れたのよ!? もう少しで魔法に当たりそうだったじゃない!!」

「すまん」

「!? だ、だからランスの癖に謝らないでよッ!」

「……(どうしろと……)」

「ともかく注意してよね? 魔法なんて何度も避けれるモノじゃ無いんだから」

「分かったよ」

「…………」×2

「んっ?」

「な、何なんですか?」

「やっぱり王様と かなみちゃん……仲が良いみたいですね〜」

「余程 信頼しあっている間柄と見受けられます」

「何故に」

「だ、だから何で そうなるんですか〜っ!」

「ハウレーン、食らった傷は大丈夫だったか?」

「既に世色癌を飲みましたので問題ありません。それよりもランス王の御体は……?」

「えっ? あぁ、俺も特には――――」

「ランスもアッサリ流さないでよぉ!!」

「……(かなみちゃん、ひょっとして王様の事 好きなのかな〜?)」




……




…………




……攻略2日目。


「ランスさんは経験豊富と みなされ、レベル30となりました」

「良しッ」

「かなみさんがレベル33となるには残り――――の経験地が必要です」

「もう少しね」

「メナドさんは経験豊富と みなされ、レベル35となりました」

「やった〜っ!」

「ハウレーンさんは経験豊富とみなされ、レベル32となりました」

「有難う御座います」

「それではランスさん、ご機嫌よう〜っ」


こまめにレベル神・ウィリスを呼び出しつつ、俺達は魔物の洞窟を攻略していっている。

昨夜は野宿をする際にランスの性格を知っている かなみがギャーギャー五月蝿かったが、
迷宮内でセックスする気は起きないので黙って寝ると、彼女は呆気に取られた様子だった。

う〜ん、でもランスらしく した方が良いのかなぁ? せめて一人称を"俺様"にしたり……

だけどハウレーンに自分から嫌われたりしなくてはならないし、イマイチ踏ん切りがつかん。

まぁ"ランスらしく"しなくちゃいけない場面だけ彼らしくすれば大丈夫な筈だ。……多分だけど。


「さて、儀式も終わったし出発するか」

「そうね」

「それにしても、やっぱり王様って凄く強かったんですねッ」

「でもなあ……レベルは皆より低いぞ?」

「けどアレだけ頑丈だった"マーダー"を沈めちゃった時の一撃は ぼくじゃ絶対 真似できません!」

「あと20くらいレベルを上げりゃ〜本来の"俺"に戻るんだけどな」

「そうなれば更に……やはり魔人すらも倒したと言うのも頷けますね」

「す、すっごいですッ! ぼく尊敬しちゃいます!!」

「ダメよメナド、ランスは煽てると直ぐ調子に乗るから――――」

「それほどでもないさ」

「ガクッ」

「あれ? かなみちゃん、大丈夫?」


俺が頑張れてるのは殆どがレベル不相応の威力を持った"リーザス聖剣"なんだが、
幸い俺 自身の強さの方が目立っているらしく、メナドがキラキラとした視線を送って来る。

ハウレーンも初対面時の仏頂面と比べると結構 表情が緩んでいる気がしないでもない。

こりゃ連れて来て正解だったな〜。考えてみりゃ彼女も迷宮攻略にマイナス補正は無いんだった。

けど才能限界になってからも迷宮を連れ回す為には……アレっきゃないのが今の悩みの種だなァ。

さて置き。やはり かなみはギャップを強く感じている様子だが、悪いけど慣れて貰うしかないね。




……




…………




……攻略3日目。


「開きそうか? かなみ」

「もう少しよ」


≪――――ぱかっ≫


「これは……(予想通り)……壷だな」

「蓋の裏には"大魔王の壷"って書いてあるわね」

「何だか可愛い壷だねッ」

「これが"この迷宮"の財宝と言う訳ですか」

「そうなるな〜。つまり?」

「攻略終了って事ね」

「えっ? そうなんだ〜、やったねッ!」

「少なからず達成感と言うモノを感じました」

「ハウレーンもか?」

「は、はい。この様な経験は今迄に無かったモノで」

「そうか、だったら今夜は"プアーの街"で祝勝会といくか?」

「ランスにしては良い提案ね」

「わ〜い! ぼくもう、お腹ペッコペッコだったんですよ〜」

「此処3日は世色癌と竜角惨が主食みたいなモンだったからなァ」

「……(今回 同行する事で、唐突に即位されたランス王を見定める つもりだったが……)」

「んっ? ハウレーンは反対か?」

「!? いえ、とんでもありません」

「だったらメナド」

「はい! お帰り盆栽、使いますよ〜?」

「……(どうやらランス王は、私が剣を捧げるに相応しい方だった様だ……)」




……




…………




その日の夜。行きで唯一 泊まらなかったプアーの街へと戻った俺は4人で豪勢な夕食を摂った。

うちメナドとハウレーンは今迄に無い冒険だった為か疲れが溜まっていた様で、既に寝ている。

反面"ランス"とかなみは平気であり、今 彼女は俺の借りた部屋(個室)にて指示を受けてる最中だ。

何故なら彼女には"忍者"としての任務が残っている。まぁ、実行は明日の朝で良いんだけどね〜。


「とりあえず"魔物の洞窟"の攻略 自体は無事に終わったと伝えてくれ。だが此処で宿を取りつつ、
 もう2日くらいは篭ってから戻るから、リーザス城に着くのは一週間後と言う事も忘れずにね」

「ええ」

「それで"ジオの街"の攻略は既に指示してるが、先陣をリックの部隊のみに任せる事にしてる。
 削った後はバレス・エクス・メルフェイス・アスカの4部隊で一気にカタを付ける手筈だ。
 そんで次回の臨時徴収は(アルカノイド貝狙いで)マリスに"アランの街"を指示してるから、
 それらの結果を伝えに戻って来てくれ。大事じゃない限りは ゆっくりしていって良いからな?」

「分かったわ」

「じゃあ休んでくれて良いぞ。お疲れさん」

「う、うん……」

「(さて俺も寝るかなァ)」

「……ッ……」

「何やってんだ? かなみ」

「えっ!? な、何でも無いわ」

「そうか」

「そ、それじゃ――――」


……この瞬間で、俺は流石にヤバいと思った。幾らなんでも今の自分は"彼らしくなさ過ぎ"と。

それ故に……いや、元々酒に弱いランスにアルコールが入ってしまったから かもしれないが、
訝しげな視線を向けて来た かなみを"このまま"立ち去らせては不味いと思っちまったのだ。

よって彼女を引き止める為の言葉を考えたんだけども、違和感無く浮かんだ"ランスの台詞"は……


「待て かなみ!」

「えっ?」

「寝る前に一発やらせろ!!」

「!?!?」


――――案の定セックスの促しだった。別に断られても"ランスらしい"と思われりゃ良いか〜。


「なに驚いてんだ? かなみ」

「そ、そりゃ驚くわよッ! イキナリ何を言い出すの!?」

「何だ嫌なのか〜?」

「……ッ……」

「だったら構わ――――」

「別に嫌ってワケじゃ無いけど……」

「ゑっ?」

「その……ランスが……ど、どうしてもって言うなら……」

「どう言う風の吹き回しだ?」

「!? そ、それは私の台詞よ!」

「へっ?」

「だって変じゃないッ! ランスなのよ!? 良いヒトを見れば見境なく襲うランスなのよ!?」

「(……もしかして酔ってるんじゃ……)」

「なのに今迄 何も求めて来ないんだもん!! メナドやハウレーンさんも居るのにッ!」

「抱かれるのは嫌じゃなかったのか?」

「それは……嫌だったけど……何か今のランスは……や、優しく抱いてくれそうだったから……」

「(マジで!?)」

「……それに、えっと……」

「何だ?」

「や、"やらせろ"って言ったのが……3人の中で私が一番 最初で……う、嬉しかったし……」

「……ッ……」


ドアの前で呼び止められ振り返った かなみは、もぢもぢとしながら衝撃的な事を言って来る。

つまりメナドとハウレーンより真っ先にカラダを求められた事が嬉しかったと? 信じられんッ。

そんな彼女の表情は非常に可愛く俺は何時の間にか かなみに近づくと小さな体を抱き締めていた。


≪――――ぎゅっ≫


「あっ」

「お前……そんなに可愛いかったんだな。気付かなかったぞ」

「!? ほ、本当?」

「うむ」

「……♪」


――――僅かな沈黙が続く。そして何時の間にか、かなみも俺の事を抱き返してくれていた。


「じゃあ……ホントに良いのか?」

「うん。でも優しくして欲しい」

「任せとけ」

「――――んっ」


……こうして酔った勢いで かなみを抱く事となってしまい、互いに熱い口付けを交わした。

んで繋がる際ランスのデカい息子を考えて全体的にソフトに行ったがソレも好評だったみたいだ。

ちなみに朝 コッソリ俺(全裸)を起こしに来たメナドの悲鳴を目覚まし代わりに覚醒した時、
既に かなみの姿は無かったと言うオチ。……畜生、せめて一声 掛けてから行けってんだ!!

と、ともかく今日からもレベル上げだ。そんで"ジオ"の街を落としたら次は"レッド"の街だな。

早い段階で"魔剣カオス"を入手できれば大きなアドバンテージになるし、頑張るとしますか〜。


≪ザザザザザザザザ……ッ!!!!≫


「(やっぱりランスは王様になってから"変わった"のね。出来る限り力になってあげなきゃッ)」




●あとがき●
何故か続きました、すみません。でもハウレーンさん書けて満足です。感想ありがとうございます。

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