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「【習作】魔法少女リリカルなのは 夢甦る銀槍(魔法少女リリカルなのはAsxムシウタbug)」
(第0部)[1/1]

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 注意 この作品はにじファンに掲載したものを移転したものです。
 タイトル通りリリカルなのはとムシウタbugのクロスモノです。
 おもにストーリーはリリカルなのはAsを基本とします。
 そして登場する虫憑きについてですが、勘のいい人はタイトルだけで気付くでしょう。bugの主人公の一人の彼女です。
 彼女のリリカルでの強さは、作者の予想でこれぐらいだろうと想定したものですのです。
 正直チート、もしくは無双モノになってしまいますが、良ければ読んでください。











 そこは深い闇の中だった。少女はその暗闇の中に漂っていた。そこでは時間などあってないようなモノだった。少女にとってもそうだった。ここにいつからいるのかも覚えていない。

「?」
 
 その闇の中で少女は二つの光を見つけた。銀色に光る懐かしい光と青いやさしい光。
 少女はその光に手を伸ばした。その行為には理由がなかった。直感なのだろう。少女は手を伸ばし、光に手を触れた。瞬間、声が聞こえた。

『あなたの願いは?』

「私は……生きたい」

 少女はかつて自分が願った夢を躊躇わず答えると、銀色の光は一匹のモルフォチョウへと変化し、青い光を浴び一本の銀色のロッドへと変化した。
 そして青い光は輝きを増し、少女の中に溶け込む。
 青い光は少女に溶け込むと少女自体が青い光に包まれる。青い光はまるで少女とロッドを闇の外へと導くかのように輝きを増し続ける。
 青い光に包まれる中、少女に耳に懐かしい声が聞こえた。

『また明日ね』

「?? ……あ、亜梨子!」

 少女は声の主、親友の名をとっさに口にしたが、少女の意識はそこで途切れた。





「ん。ここは?」

 少女は目を覚ますとそこは見知らぬ部屋のベットの上だった。そこは自分が入院していた病室でもなく。一度だけ見たことのある親友の部屋でもない。もちろん実家にある自分の部屋でもない。
 妙に部屋に物が無いが、掃除自体はしっかりされている。
 なぜ自分がこんな所のベットに寝ているのかまるで見当がつかない。
そもそも自分は………

「? ……わたし、生きているの?」

 自分で自分の口にした言葉が信じられない。そう自分は確かに死んだ。しかも二度死んでいる。
 一度は肉体的な死。そして二度目は親友に自分の夢を託して死んだ。
 間違いない。確かにあの流星群の夜に自分は親友に自分の夢を託し、大切な親友を自分によく似た、自分より少しやさしく頼りになるあの少年に託し逝ったのだ。
 だが自分はまだ生きている。
 少女は恐る恐る自分の頬や体に手を当てる。
 確かな感触。これが夢や幻ならとてもリアルで残酷な設定だ。
 例え高位の精神汚染や幻覚能力を持った?虫憑き?の攻撃だったとしても、少女ならばたやすくそれを見破る自信がある。
 だが少女の勘が告げている。これは?虫憑き?の能力では無いと。
 少女は慌てて自分の姿を確認しようと周囲を見渡す。ちょうど窓ガラスにぼんやりと映る自分の顔。それを見て少女はさらに驚愕を浮かべた。
 そこに映っていたのは生前の自分の顔。もういないはずの人間の顔だった。

「一体、何が起きたの?」
 少女が困惑していると部屋の扉が開かれ、入って来たのは電動の車椅子に乗る九歳くらいの少女だった。

「お、やっと気がついた。家の庭で倒れてるの見つけた時は、ほんまビックリしたわ」
 
 車椅子の少女はそう言いながら、少女に近づく。少女は車椅子の少女の雰囲気が誰かに似ているような気がして、少しだけ考え、すぐに答えが判ると、自然と笑みがこぼれた。
 車椅子の少女の雰囲気が親友の亜梨子にどこか似ている。

「お、少しは元気が出たみたいやな。ほな、自己紹介や。私は八神 はやて」

「……摩理。花城 摩理」





 自己紹介をしながらも、摩理は混乱していた。死んだはずの自分が生きている事は勿論、今の状況にも困惑していた。
 車椅子の少女、はやての話によれば摩理は家の庭に倒れており、はやてが慌てて救急車を呼ぼうとしたのを止めたのも摩理自身だと語った。

「いやあ、私もホント驚いたわ。朝起きて洗濯干そう思ったら、庭に人が倒れてるとは思わなかった。しかも同い年くらいの綺麗な子やから、さらに驚きが倍や」

 綺麗と言われ摩理は少しだけ頬を赤く染めたが、はやての言葉に聞き逃す事の出来ない一言に眉をひそめた。

「同い年?」

「へ? もしかして年上?私はてっきり、同い年かと思ったんやけど…」

 そう言われ摩理は改めて自分の体を見た。自分の記憶よりはるかに小柄な体。確かにはやてと同い年くらい、九歳前後の体だ。

(……どういう事? 生きているだけじゃない。体も縮んでいる。それに体の調子も良い。まるで亜梨子になった時のような体の軽さ。まさか病気まで治っているの!?) 

 自分の状況に、困惑を超えた理解不能の状況に摩理は混乱しそうになったが、自分にとってもう一つ確認すべき重大な事柄が在る事を思い出し周囲を見渡す。
 はやては不思議そうに首をかしげるが、今はそんな事はどうでもいい。
 周囲にはいない、なら部屋の外かもしれない。

「……その、聞いてもいいかしら? 私が倒れていた周囲に蝶が飛んでいなかった? 銀色の蝶」

「? そないな綺麗な蝶がいたら、絶対捕まえるわ」

 はやての言葉に摩理は納得した。いや本当ははやてに尋ねる必要もなかった。
 かつて摩理の周囲には必ずあの?モルフォチョウ?いた。例え摩理の周囲にいなくとも、摩理とあの?モルフォチョウ?は繋がっているのだ。
 今の摩理は?モルフォチョウ?との繋がりを感じない。
 つまり今の摩理はただの人間と言う事になる。
 予想外どころか理解不能の事態に、摩理自身混乱のする中はやてが思い出したように、ある物を差し出した。

「あ、でもこれが落ちてたな。この銀色で綺麗な模様の彫ってあるロッドと銀色の鎖に金色のリングがついたオシャレなネックレス」

 はやてが差し出した物を見て摩理はこの日、最大の驚きを覚えた。

「そ、それ。?先生?にあげたはずの! それにそのロッドは! 亜梨子の……」

 二つとも摩理の持ち物ではないが、摩理にとって大切な人が持っているはずの物だ。
 はやてが差し出した二つを受け取ると、摩理の瞳に自然と涙がこぼれた。
 摩理は理解した。ここに二人はいない。だがなんとなく大好きな親友と?先生?が摩理にここで生きろ。夢を叶えろと言っているような気がした。
 そして摩理が寂しがらないように、二人がプレゼントしてくれたような気がした。





 目の前で泣く摩理を見ながら、はやてはこの少女が何故か他人に思えないような気がした。
 そもそも見ず知らずの他人を、家にあげ看病する事がどれだけ危険な事かもはやては理解していた。
 だがはやてが初めて摩理を見たとき、何故か自分を鏡で見たような感覚に捕らわれた。
 実際助け、今泣く摩理を見て、その感覚は間違いではないと改めて確信した。

「泣いたら、ええ。今は私達だけや。我慢しなくてええよ」

 今も涙をこぼしながらも、必死で気持ちを押し込もうとする摩理をはやてはそっと抱きしめた。
 摩理は一瞬だけ驚いたが、すぐにはやてに身を任せはばかる事無く大声で泣き出した。
 そんな摩理を見ながらはやては決めた。この子を絶対一人にしないと。





「……ごめんなさい。いきなりあんな大声で泣き出して」

「ええよ。人それぞれ事情もあるやろうし。それよりこれからどうするの? 帰る家あるの?」

 はやての何げない、だが重要な質問に摩理は視線を下げる。

「……残念だけど、私には帰る場所は無いわ」

 摩理がどこか自嘲気味に答えると、はやては少しだけ考えるそぶりを見せ、大きく頷くととんでもない事を口にした。

「おっしゃ。なら今日から私の家に住めばええ。幸い私は一人暮らしや。誰も文句言わへん」

「…………え?」

 はやての提案は摩理にとって予想のはるか斜め上だった。

(一緒に住む? 私とこの子が? なんで、いきなり。それにこんな家に一人暮らし……あ!) 

 はやての提案に驚いた摩理だが、その可能性に気付くと、摩理は何故はやてがこんな提案をしたのか理解できた。

(そっか。この子も同じなんだ。私と同じ独りの孤独に耐えていた。ならそうだよね。亜梨子が私にしてくれたように、この子と……)

「そうと決まれば、まずはご飯や! 腹が減っては戦はできん言うし、ちょっと待ててや。今美味しいもんを」

「摩理」

「え?」

「摩理って呼んで。今日から一緒に暮らすんでしょ? だから呼び捨てにして」

 摩理の言葉にはやては一瞬驚いたが、すぐに満面の笑みを浮かべ。

「なら、私の事もはやてって呼んで。もちろん呼び捨てや」

「うん」

 摩理も最高の笑顔を浮かべはやてを見送った。





「ごちそうさま。はやては料理がうまいのね」

「あははは。そんな褒めてもらうと照れるわ。で、摩理の体の調子はどうや? 痛いとことかあるんか?」

「……ないわ。多分、日常生活は問題ないと思う」

 摩理自身どこか困惑気味に自分の状態を口にする。
 その様子にはやては首をかしげる。

「ところで話は変わるけど、はやて。?虫?って知ってる?」

「虫? それって庭とかにいるアリとか、芋虫とかの事? そんなん子供でも知っとるよ」

 摩理の質問の意図が判らないはやては、ごく自然とそう口にしたが、摩理は難しい表情を浮かべた。

「噂話でもいいわ。人の夢を食べる?虫? 聞いた事ある?」

「いや、ないわ。そんな虫の話、聞いた事無い」

「そう。ありがとう」

 摩理は安堵したような、少しだけ寂びそうな表情を浮かべるが、はやては摩理の質問の意味がまるで理解できなかった。

(……ここには?虫?はいない。ならはやての平穏を邪魔する存在はいなさそうね)

 摩理は内心でそう結論する。だが摩理は知らない。この世界に?虫?は存在しないが、代わりに魔法が存在する事を。
 親友に夢を託し、死んだハンターと闇の運命を刻まれた魔道書の主となる少女。
 本来出会う事の無いはず二人の出会いが、一体どのような結末をもたらすのかは、この時点では誰も知らない。

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