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「Muv-Luv オルタネイティヴ Last Loop(29話更新しました)」
(第0部)[1/1]

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○はじめに
 みなさんはじめまして、今回が初投稿となるテンパといいます。つい最近こちらの掲示板の存在を知りまして、さまざまな作品を読んでいると、ふと自分でも書いてみたくなり、今回この作品を投稿することになりました。文才はないのでところどころ変な日本語があったりするかもしれませんが、どうかスルーしてください。
 話自体は、白銀武のループものです。なぜか白銀と一緒に戦術機までついてきちゃったりしています。そこら辺の不思議現象をなんかこう難しい言葉いっぱい使ってうまく説明できればいいのですが、おそらく無理なので、ご都合主義万歳でスルーします。どうか、ご理解ください。
あと、この話では白銀武がかなり強いです。主人公最強物が大丈夫な人だけこの作品をお読みください。
最後に。自分はマブラヴが大好きです。でもやっぱり、オルタの世界でもハッピーエンドがいいんです。そんな想いからこの作品を作りました。
それでは、拙い文ですが、お楽しみください。

ps.ニコニコ動画から来た場合、ここの投稿掲示板の注意書きをよく読んでおいてください。


「……ま、まぶしい」

 武は瞼越しの陽ざしで目が覚めた。手で影を作りながらゆっくりと瞼を開いていく。最初、目に入ってきたのは自分の指の隙間から見える白い天井だった。

「……?」

 寝起きの頭で、見慣れない天井だな、と思う。しかし、なぜかなつかしい。そんな色をした天井だった。周りに目をやると、ポスターや机、ハンガーにかけられた制服が目に入ってきた。

「……って、オレの部屋かっ!」

 そう言って武は体を起こす。
 間違いない。この部屋は白銀武の、自分の部屋。机の上の散乱した教科書に名前がしっかりと書いてある。しかし、なぜ一瞬でもなつかしいなんて思ったのか。

「!」

 そこに考えが及んだ瞬間武は思い出した。
 BETA。オルタネイティブ計画。横浜基地。戦術機。207訓練部隊。A−01部隊。12・5事件。00ユニット。甲21号作戦。あ号標的。桜花作戦。

 そして、みんなの顔を。
 知らず涙が出てきた。布団を手に取り顔に押し付ける。
「……純夏、冥夜、委員長、たま、彩峰、美琴、まりもちゃん、伊隅大尉、柏木、速瀬中尉、涼宮中尉」
 守れなかった、死んでしまった人たちの名前をくぐもった声で出す武。みんなを救おうとして、結局みんなに救われていた。
 あの世界は救われたかもしれない。しかし武は、ほとんどうれしいとか達成感というものがなかった。あの救われた世界は武にとって、本当に寂しい世界だった。

「……待てよ」

 どうして自分はこんな記憶を持っている。
 確か、白銀武はあの世界では完全に消滅したはず。あの世界の記憶をもった白銀武など存在するはずがないのだ。
 何か、何かがおかしい。つかんでいた布団を蹴とばし、ベッドから降りる。
 そして、無意識のうちにゲームガイを手にしてドアへと手をかけた。なぜこのとき、ゲームガイを手にしたのか。それはおそらく武の中に確信に近い予感があったのだろう。慌てていたため、部屋を出る前にハンガーに掛けてあった制服が肩に引っかかった。そんなことをきにせず階段を目指そうとすると、ハンガーごと制服がついてきた。うっとうしいと思いながら肩にかかった制服を落とす。
 ほとんど転がり落ちるように階段を降り、焦りから足がもつれながらも玄関にたどりついた。

 「……」
 そこで立ち止まり、一度だけ深呼吸をする。家には誰もいなかった。そして、記憶を失っていない自分。駈け出したときに気づいた自身の鍛えられた肉体。これらが一つの可能性を武に示していた。
 扉に手をかける。一瞬のためらいの後一気に開いた。

「……っ!」
―――そこには、やはり廃墟と化した街が広がっていた。

「は……ははは」
 この瞬間、武を支配した感情は、絶望ではない。怒りでもない、落胆でもない、恐怖でもない。
 ―――歓喜だった。

「……『三回目』だ!」
 後ろを見る。そこには自分の家に持たれるようにして活動を止めた撃震だった。『1回目』のとき状況も何も知らず、こいつを見てはしゃいでいた自分。『二回目』はただこいつを見て『あの日』に戻ったということに混乱していた自分。
 『一回目』は、力も知識もなかった。『二回目』は、力はあったが、覚悟がなかった。
 だが『三回目』はどうだ。今の自分には力がある。知識もある。覚悟もある。今の自分ならやれる。みんなを救うことができる。
 武は、誰もいない廃墟と化した街の中一人歓喜の声を上げた。





(だがよくよく考えてみれば今日が2001年の10月22日なんて保障はどこにもないんだよな)
 歓喜の声を上げたのはいいものの、冷静になってみれば、そうだった。
 
 とりあえず部屋に戻ってみたもののそこはすでに廃墟だった。
「んげっ!?」
 廃墟となった自分の部屋を呆然と見詰める。そして自分の今の格好を見ながら、
「やべーってこんな格好で横浜基地なんて行ったら最初っから思いっきり不審人物じゃん」
 『一回目』と『二回目』は、制服を着ていたため、門兵は最初親しげに話しかけてきた。今度もその瞬間を利用して、夕呼先生に連絡を取ってもらおうと思ったのだが。この恰好では最初から武の言うことを聞いてくれるとは思えない。
 だがこうなると、最初ゲームガイを持って外に出たのは良かった。これがあると、夕呼先生にも自分が別世界から来た証明に役立つだろう。

 しかし、
「マジでどうすっかなー?」
 頭をかきながら部屋を後にすると、廊下に落ちている制服が目に付いた。
「おっ!」
 そうだ。先ほど自分の肩にかかった制服のことを思い出す。
「良かった〜!」
 あの時は、一秒でも早く外の状況を確認したくて、肩にかかった制服をうっとうしがった武だが、人生何が役に立つかわからないものである。
 
 とりあえず着ていたものを脱ぎ制服に袖を通す。
 その瞬間、頭が割れるような頭痛が武を襲った。
「っ〜〜〜!……うっ!」
 頭の中に浮かんでは消える。人、戦術機、BETA。

 ようやく頭痛が治まったとき、武は放心としながらもつぶやいた。
「『三回目』、じゃ……ない!?」
 先ほど、武の頭に浮かんでは消えたもの。それは武が『一回目』の世界で5年間戦い続けたものだったり、桜花作戦後もあの世界にとどまり、戦い続けたりした数十にも及ぶ戦いの記憶だった。
「……いや違う。さっきまで俺は確かに今回が『三回目』と認識していたはずだ。ということは、これはほかの並行世界からの記憶の流入?」
 おそらく、そうだ。何が原因かわからないが、これはほかの世界の白銀武の記憶に間違いないだろう。
「な、なんか……どっと疲れた」
 頭を押さえ、壁に背中を預け崩れるように座りこんだ。
いきなり何十年分もの記憶がいきなり流れ込んできたのだ。なんか精神年齢が上がったような気がする。

「だけど、これで覚悟がさらに固まったかな?」
 そう言って武は、瞳に光を宿す。
その理由は、どの世界でも武の最後の想いは、仲間を救えなかった後悔だった。今回こそはそんな想いを抱いての最後にはしない。
今の武は、何十人もの『白銀武』の願いの形だった。今回こそは仲間を失うことなく、人類を救ってみせる。

「そうなると、『アレ』がほしいな」
 先ほどの記憶の中、桜花作戦後もあの世界にとどまり続けた記憶の中では必ずと言っていいほど登場する白銀武専用機「伊邪那岐(いざなぎ)」。武御雷以上に生産性と整備性を度外視した超高性能機だ。
 元の世界のバルジャーノンを完全に再現しようとして、無理言って開発してもらったものだ。しかし、あの機体の速度は、元の世界のバルジャーノンに慣れている武以外には制御できなく、また、期待の最高速度時のG(やはりゲームはゲームだった。実際にあの速度を出した瞬間、武は気絶した)に耐えるために長期の訓練を必要とするため、結局白銀武専用機となったものである。

「でも、あれ桜花作戦の後、ある程度人類にも余裕ができた時に開発してもらったものだからな」
 オルタネイティブ4、XM3の開発などやることは山とある。さすがに今すぐには無理だろう。
 溜息をつきながら、いそいそと制服を着始める。
 その時、家の外から何か巨大なものが落ちてきたような重く響く音を聞いた。その衝撃で家が少し揺れる。

「なんだ、なんだー!?」
 ガチャガチャとベルトを締めながら階段を降りる武。と、途中でちゃんと履けてなかったズボンに引っかかる。そのまま、階段を回転しながら落ちる。
「あ、あが〜」
 体中の痛みに耐えながら、ズボンをしっかりと履く。
 そのまま、一気に廊下を駆け抜け、玄関にたどり着き、ドアを開ける。

 そこには白銀(はくぎん)色で陽光を反射する全高20メートルの鉄の巨人がそびえたっていた。
「いざ……な、ぎ」
 見間違うはずもなく「伊邪那岐(いざなぎ)」である。
 その顔が、武をじっと見つめているようにこちら側に向いていた。

「お前も……来たのか?」
 そう問うても鉄の巨人はただそこに立っているのみ。しかし、武の眼には「伊邪那岐」がしっかりと頷いたように見えた。
 桜花作戦後の世界の記憶では、伊邪那岐で出撃した武は、作戦前の待機時間などに自分の機体に仲間の武勇伝を語っていた。みんなが頑張ってくれたおかげでお前も生まれることができたんだぞー、と。もちろん鉄の塊が答えてくれるはずがない。しかし、武は何度も自分の相棒に仲間のことを語り続けた。

 その伊邪那岐が今目の前にいる。
「お前、俺の言っていた仲間にでも会ってみたかったのか?」
笑いながら武は言う。
 そして親指を立てた腕を突き出し、こう言った。

「頼むぜ、相棒!」
                    つづく

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