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「【完結】噛ませ転生者のかまさない日々(リリカルなのは オリ主)」
(第0部)[1/1]

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神「間違えて殺しちまった! 侘びとしてリリなの世界にチート持たせて転生させたる!」

俺「やったぜ! じゃあ銀髪オッドアイの超イケメンにして魔力ランクSSSであと女の子AIのデバイスと身体能力もチートで頼む!!」

穴「よし分かったじゃあ行ってこい!!」クパァ


――まぁ、前日譚は大体こんなものだった。今思うと随分アホな願い事をしたもんだ。



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俺は二次元の女の子が大好きである。

物語のヒロインに抜擢される殆どの少女達は、皆が皆可愛らしく――或いは美しい微笑みを浮かべ、俺達の清い心を魅了してやまず。
均整のとれた体躯に纏う衣服の隙間からは、くすみ一つ無い滑らかな肌が覗き。俺達のゲスい劣情を刺激する。

多種多様に差別化された性格だって魅力の一つだ。
純情、ツンデレ、クーデレ、ヤンデレ、ボーイッシュ、その他諸々。三次元では有り得ない程に強調されたその個性は、個々の性癖に寄り添い「萌」の感情を加速させる。
多少あざとかろうが仕草が態とらしかろうが暴力ヒロインだろうが、そんな物は関係ない。可愛いければ、萌えられればそれでいい。デビルキシャーでもサラマンダーよりずっとはやいでもバッチコイだ。

そうして幾つもの漫画を読み、数多のアニメを見る度に、俺は彼女達と現実で出会いたいと夢想(妄想)していた。
三次元世界では草食系だった俺も、二次元世界においては肉食系に早変わり。紙や液晶の中で笑う彼女達と話したい。触れ合いたい。出来ればエッチな事もしてみたいと常々願っていたのである。

――だからこそ、神を名乗る存在に「魔法少女リリカルなのは」の世界に転生させてやると提案された時は狂喜乱舞した訳だ。

殺された事への怒りも憤りも全て吹き飛んだ。夢にまで見た二次元世界に、しかも登場人物の八割以上が可愛い女の子の作品の世界に入り込む事ができる。こんな嬉しい事があろうか否ある訳が無い。
しかもチート能力という豪華おまけ付き。これで喜ばなかったら嘘だろう。

俺は一秒の躊躇も無く転生を承諾し、夢想(妄想)する際に自己投影していた厨二病マックスの超格好いい理想的イケメンへと姿を変えリリなの世界へ落っこちた。
全ては二次元の女の子――なのはやフェイトやアルフやアリサやすずかやはやてやヴィータシグナムリィンその他沢山の可愛い女の子とイチャイチャするため。そう、言わばハーレムという男の夢を作るために。

彼女達が俺のヒロインになる、そう考えただけで穴を落下している最中もゲッスい笑いが止まらなかった。
早くリリなの世界に辿り着け、俺tueeeeはよ、桃色ネチョ空間をハリーアップ! そうして逸る心を抑えもせず、俺は穴の中を突き進み――――そして、この世界に墜落したのである。


落ちた場所は高級マンションにおける高層の一室。おそらくなのは達と一緒の学校に通えという神の粋な計らいか、体は6・7歳の物となっていた。無論、銀髪オッドアイのイケメン予備軍だ。
そして辺りを見回せば、テーブルの上に私立聖祥大学付属小学校への入学書類と桁外れの金額が記載された通帳、そして俺のデバイスらしき四角形のプレートが用意されていた。

この時点で喜びの限界値を超えた俺は、詳しい事を調べずにデバイスを引っ掴んで外に飛び出した。一刻も早く、俺の嫁となる筈のなのは達の姿が見たかったのだ。
膨大となっている筈の魔力の影響か、それとも身体能力チートの所為か。マンションの階段を休み無しで駆け下り続けても大して疲れは抱かなかった。

――待っていろなのは! 早く俺のモノにしてやる!
六歳児の体で何言ってんだって話だが、俺は真剣にそんな事を叫び散らし。満面の笑みを浮かべながらマンションの入口を開け放った――――。

…………のだ、が。


「……………………ウェッ?」


――三次元だった。

道を行きゆく老若男女、その全てが三次元。美形もいれば不細工もいる、前世で見慣れた三次元。俺の興味と性欲の対象外である三次元。
思ってたんと違う。余りのショックに呆然としていると、俺の無駄に優れた脳が神の言葉を再生させた。


即ち――「リリなの世界にチート持たせて転生させたる!」


「リリなの世界に」

「リリなの世界に」

「リリなの世界に」


――ああそうだ、神は二次元と、言ってない。


それはつまり、なのはもフェイトもアルフ以下略も、全部三次元の肉袋だという事で。

……例えリリなの世界であっても、そんなんじゃゲロカスじゃねぇか。
有頂天から失意のドン底に叩き落とされた俺は瞬間心をぶっ壊し、白目を剥いて血涙と泡と鼻血と耳血と血尿血便を撒き散らしつつ倒れ込んだのであった。

以上、導入終わり。







○月 ○日



最初こそ嘆きの極致にいた俺だったが、時間はかかったものの何とか立ち直った。

何時までもウダウダ鼻水を垂らしても仕方がない。死んだ俺が新しい生を得ただけでも儲けものと考えようじゃないか。
幸い住むべき場所はあるし、部屋にはパソコンテレビ空調設備が完備されている。加えて金も腐る程あるのだから、これから先食うに困る事もあるまい。

これならば確実に前世の俺よりも裕福な暮らしが送れるだろう。とりあえずポジティブに行こう、ポジティブに。

とりあえずこの世界に落とされてからの二日間の内に分かったのだが、どうやら俺には両親という存在は居ないらしい。
まぁ居てもギクシャクするだけだろうから有難いといえば有難いのだが、無駄に広いこのマンションに俺一人というのは中々に寂しいものがある。
正直もう少し狭くてもよかった。幾つも部屋があっても使わないよこんなに。

まぁ一応デバイスという意志を持った存在が居るには居るのだが……どうもこの四角形は無口なのか俺の事が嫌いなのか、録に会話をしてくれない。


「なぁ、お前名前何つーの?」

『…………』

「女の子のインテリジェントデバイスで合ってるよな? 神って奴にそう頼んだし」

『…………』

「おーい。もしもーし」

『…………』


こんな感じである。
無口少女AIと考えれば悪くないかもしれないが、少しくらいは喋って欲しかった。その方が妄想も捗るのに。

まぁそれ以外に不満点のある生活環境では無い、好き勝手に生きさせて頂こう。
半ば言い聞かせるように呟きつつ、初めから置いてあったノートPCの電源を入れた。俺にとっての生活必需品たるゲーム機と漫画本とDVD、そして抱き枕各種を買い漁るのだ。

……なんで創作世界に居ながらこんな事をしているのだろう。そんな疑問が頭を過ぎった気がするがきっと気のせいだ、うん。







○月 ○日



ネットを回遊していて気付いたのだが、どうもこの世界のサブカルチャーは現実世界の物とは違うようだった。

何と言うか、全体的にパチモン臭いのだ。
例えば某配管工は微妙に名前が違うし、某人型ロボットは色が赤いし、某ときメモは題名はそのままだが虹野さんがメインヒロインとなっている。話の大筋は変わらないのだが、どうも違和感が付き纏って仕方が無い。最後以外。

こういうのを見ると本当に別世界にきた事を実感した。まぁ、その内慣れるだろう。とりあえず興味の湧いた物を片っ端からカートに突っ込んでいく。
いやはやネットショッピングは本当に便利だ、何せ年齢制限があって無いような物なのだから。流石に今の体じゃ18禁のあれやこれやは楽しめないので残念だが、精通までの我慢だ。フフフ。

そうして興味の赴くままにネットサーフィンを楽しんでいると、早速昨日注文していた分が届いたようだ。マンションのインターホンが無機質な音を奏でる。


「お届け物でーす」

「はーい、ありがとうございまーす」

「いーえー、ありゃあしたー」


……この世界が二次元ならばもう少し横柄な態度も取れたのだろうが、残念ながら三次元である。これから何度もお世話になるだろうし、お付き合いは大切にしないとね。

それはさておき届け物だ。
中身はこの当時の最新ゲームハードとソフト、そしてファミコンを始めとしたレトロゲーム。それから漫画本とアニメDVD、各種再生機器と抱き枕である。
本当はPCやテレビ等も最新の物にしたかったのだが、どうも調べて見る限り今あるものがそうらしい。前世では何世代も前の物だっただけに、少し驚いた。

これが時代かと感慨深くなりつつ、俺は早速配線を繋ぎゲームのスイッチを入れた。
俺も今まで何本ものソフトをプレイしてきたが、この世界のソフトは俺の知らない物ばかりだ。ワクワクは留まる所を知らず、美少女が描かれた抱き枕に身が沈み、コントローラーを握る手に力が篭る。
そうして始まる若干チープなOPに妙な新鮮さを感じつつ、俺はゲームの世界に没入していったのだった。やっべ超楽しい。


その後もゲームだけではなく次々と漫画やアニメに熱中していき、空腹で我に返った時には夜の11時をとうの昔に過ぎていた。梟の声があちらこちらで喧しい。

朝からやり続けていたことを考えると12時間近くぶっ続けだったようだが、身体は全く疲れた様子が無い。それどころかまだまだ余裕の有様である。
これも身体能力チートの影響だろうか? 良い貰い物をしたものだ、うん。

しかし空腹だけは如何ともしがたく、何か食べようと冷蔵庫を開けた。空だった。戸棚を開けた。空だった。
そういや、昨日と一昨日にヤケ食いと称して家中の食料を駆逐したんだっけ。俺はがっくりと肩を落とし、近所のコンビニへと走ったのだった。

……途中で補導されかかったのは、ここだけの秘密である。







○月 ○日



俺に魔力を扱う素養がある事を思い出したのは、この世界に来て一週間が経とうかといった時期だった

100冊以上溜まった漫画を壁一面に並べた本棚に押し込み、その壮観に悦に浸っていると突然背後から声をかけられたのだ。
振り返ってその主を探してみれば、初日以来テーブルの上に放置されたままのデバイスからだった。あれから幾ら話しかけても反応を返してくれなかったので、何時しか興味を失っていたのである。

……しかし、そんな彼女から声をかけられた。よく分からん感動に包まれた俺は食いつくように耳を寄せたのだが――――その高揚はすぐに沈む。
聞こえてきたのは説教と苦言、何故魔導師としての修行をしないのか。と言った物だったからだ。

まどうし? 一瞬何を言っているのか分からなかったが、そう言えば俺には魔力チートもあったのだっけ。三次元ショックとその後のゲーム漫画アニメ祭りで忘れてたぜハハハ。

何でもデバイスはそんな俺の行動が大層気に入らないらしく、感情の乗らない機械的な声で皮肉やらイヤミやらを叩きつけてくる。
正直かなりムカついたものの、前世の経験からその程度の罵倒は屁でもない。ヘッドフォンをつけてスルーさせて頂いた。

……だが、そうか。俺には魔力があるんだったな。
この世界が三次元である以上、女性に惚れられる可能性のある俺tueeeeeなんて行為は百害あって一利なしではある。しかし、魔法というものに純粋な興味は湧かないでもない。

攻撃魔法とか飛行魔法とか、ハーレムとは方向性は違うが男のロマンの一つである。興の乗った俺は未だ喚き散らすデバイスをひっつかみ、マンションの外に飛び出した。


………………………………


……結果から言おう、だめだこりゃ、やっぱ魔法とか俺に合わんわ。

とりあえず近所の山の中で封時結界を展開して貰い少し修行をしてみたのだが……何だろう、根本的に面倒くさい。
いや、確かに初めてデバイスを展開し変身したときや、空を飛んだりした時は楽しかった。デバイスも性格を抜きにすれば大鎌の形をしていて超格好良かったし、空高くから街を見下ろした時は感動もしたさ。

……でも、その他攻撃魔法系が駄目だ。威力調節に死ぬ程手間がかかる。
さすが魔力ランクSSSと言うべきか、アクセルシューターもディバインバスターも難なくぶっぱなす事は出来た。しかし、その威力が桁外れにデカかったのだ。

周囲の木々は欠片一つ残さず吹き飛び、地面に大穴を穿ち、山を欠けさせる。デバイスによると、その威力は非殺傷設定なんて意味をなさない程強力だったらしい。
当然そんな物を人に向けた日には、どこぞのスナイパー妹に起きた失明なんて目じゃない被害が出るそうな。
個人的にはダークヒーローっぽくて超格好いいとは思うが現実で使える訳ねぇだろがいそげな危ねぇもんぞ。

まぁ俺の資質からいって訓練を積めばその力も手中に収められるとの事だが、そんな事はするつもりは毛頭無い。
ここが三次元でなのは達もモッコスなのはである以上、原作介入なんてする理由も価値も無い。それに伴い戦う力を高める必要性も消滅するのだ。
マルチタスクの修練だけは気が向いたら続けてもいいかもしれないが、そんな事よりゲームに時間使った方が有意義だと思う。

ふむ、どうも身体能力チートとは違い魔力チートの恩恵は無さそうだな。そんな事を思いつつ、ギャースカギャースカ煩いデバイスを無視して家に帰った。

後日談として、それからデバイスはそれまで以上に喋らなくなった。まぁ静かでいいやと特に気していないのだが、時折ピリピリとした空気を出してきて地味にウザい。







○月 ○日



何とびっくりこの時代、まだニヨニヨ動画っぽい何かが存在していなかった。
それどころかWetubeっぽい何かすら無く、名だたる大型動画サイトにべったりだった俺は物凄いショックを受けた。

嘘ぉ。昔からあったと思ったのに、この時代はまだ無かったの? え、だってもう2000年代だぜ? うっそだぁ。
幸いΘちゃんねるっぽいДちゃんねるなる物はあったので何となく安心はしたが、Wetubeはこれよりも歴史が浅いのか……と微妙な気持ちになった。

だがДちゃんねるもДちゃんねるで全体的に空気が違い、前世の雰囲気とは大分違う感じがする。愛すべき馬鹿が多いと言うか、親しみのあるマジキチが多いと言うか。何と言ったら良いのかね。
何やらノスタルジックな気分になりながら、俺は迷う事なく「魔法少女なのはたんのエロ画像ください!」のスレを立て、中身を見る事無く閉じる。

おそらく今頃は多種多様のホモ画像が貼られまくっている事だろう。そんな光景を幻視しつつ、天野美紗緒似の美少女抱き枕に顔を埋め眠りに落ちるのだった。

……今日で徹夜何日目だったかな、とにかく俺は元気です。







○月 ○日



今日も今日とて引き篭もり生活を満喫していたら、一本の電話がかかってきた。

宅配トラブルでもあったかなと思い電話に出てみると、なんと私立聖祥大学付属小学校からだった。何でも「既に入学式が始まってるのですが、今日は欠席ですか?」との事だ。
あれ? 俺っていつの間に入学したの? 慌てて書類を探してみれば、そこには確かに「処理済み」の文字。どうやら俺の入学は決定されていた出来事だったらしい。

面倒くさいな、今更小学校なんて行く気がしねぇよ。ウンザリとした俺は欠席する旨を話したのだが、電話先の教師が「なんとか出席できませんか」と食い下がってきた。
どうやらかなりの生徒思いであるようで、学校の大切さやら色々な事を熱心に説かれ、出席して欲しいとお願いされてしまった。

……こんなに請われたのは前世を含めても初めてだな。そのあまりの熱意に思わず感動し頷いてしまい、俺は晴れて小学校に通う事となったとさ。

いや、まぁ、うん。この世界で生きるのなら学歴とかあって困るものじゃないしね。損になる事は無いんじゃない?
そんな感じで自分を騙し騙し重い腰を上げ、クローゼットの中で見つけた制服っぽい服に袖を通す。何でこんな服があるのかと以前から疑問に思っていたが、成程。これは学校の制服だったのかと今更ながら気付く。
そうしてどこから見ても恥ずかしくない小学生となった俺は、身体チートを活かしてマンションのベランダから聖洋前へと一飛び。何とか入学式が終わる前に間に合った。

ああ、早く帰ってときメモやりたい。


…………………………………………


入学式が終わり、クラスメイトの面通し。それなりに大きい教室の一室に案内され、出席番号順に座らされ自己紹介が始まった。

……とは言ってもマトモに聞く気のない俺は、その殆どを聞き流す事に務めた。
どうやら原作組と同じクラスだったらしく、途中高町なのはやアリサ・バニングス名前を聞いた時はちらりと目を向けもしたが……まぁ、当然三次元すよね。

確かに整った顔立ちをしているとは思うが、それだけである。二次元どころか二・五次元にも遠く及ばず、僅かに胸に残っていた希望が木っ端微塵に砕け散った。
全ての興味が失せた俺は鞄から「Drロンで投了てみて!」という少女漫画を取り出し、隠れて熟読する事にした。身体チートを応用すれば、この程度造作もない。

……そうしてペラペラと漫画のページを捲っていると、隣からツンツンと二の腕をつつかれた。
目を向ければ、隣席のメガネっ娘モブが困った顔をして前の席を指差している。どうやら次は俺の番だという事を教えてくれたようだ、軽く手を挙げて感謝の意。

そして前の席の自己紹介が終わった後を見計らい、俺も立ち上がり自己紹介を始める――


「――どうも、六千六百六十六堂院ベルゼルシファウストです。趣味はゲームとパソコンです、これからよろしくお願いします」


――瞬間、教室内を包み込む沈黙たるや。

……自分では超格好いい名前として気に入っているのだが、そんなにおかしいだろうか?

着席し、先程のメガネっ娘をそんな疑問を込めた目で見つめてみる。視線を逸らされた。つついてみた。体を捩らせた。

……まぁいいさ、俺の格好良さは三次元には理解できんのだ。フン。
何故か心に隙間風が吹いた錯覚を感じながら、再び少女漫画を読み込み始めた俺であった。



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こういうの初めて書いたけど、好き勝手やれて楽しいなぁ……。
完結後一年越えたという俺ルールによりハーメルン様にも投稿しますた。

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