AR Mobile Viewer

「ネギえもん(現実→ネギま +四次元ポケット) エヴァルート完結」
(第0部)[1/1]

[次話][目次][][登録]
 なぜか突然ねぎまの世界に飛ばされ、ポケットには四次元ポケットが設置されていた男の話。

 なんで四次元ポケットと未来道具を持っているのかは本人も知りません。
 原作知識はおぼろげにあり。
 主人公はヘタレ。巻き込まれ型。逃げようと努力してドツボにはまるタイプ。

 ほんの少しのネギま知識と未来道具を携えて、三十路(目前)男が行きます。




──────




 戦いの音が森の中に響いている。




 まあ、なんだ。いきなりだが、俺は森の中で目を覚ました。時間は夜。
 森の中でぶっ倒れていて、なにかがぶつかり合う音で目が覚めた。
 なんだようるせーな。と思いつつ、その音の方向へ、草木を掻き分て行ったら、なんか悪魔と表現するしかない悪魔と、刀を持った少女が戦っている現場に出くわした。
 ちなみに悪魔の顔なんとなく竜っぽい。だから悪魔っぽい竜か? いや、竜面の悪魔か?

 そんなのが、俺の目の前で戦っていた。

 頬をなでる風。戦いの息吹。それらは到底夢とは思えない。とんでもなくリアルだった。

 ああ。とうとう俺もリアルファンタジーに出会ったか。
 目の前の非常識な事態に対して、俺の頭はすごく冷静だった。
 いきなりのバトル。そこから巻きこまれる冒険譚。中2の頃に思い描いたすばらしき世界。
 だがすでに成人式もはるか昔、そろそろ三十路。それでもこんな世界を目の前にすると、感動は覚える。男はいつでも心に中2の病を持っているから!
 修正。一部大興奮。
 でもここでこっそり見るだけ。
 授業中に思い描いた学校を占拠したテロリストととの戦いとかそういうレベルじゃない。


 現実の戦い。


 そんなの無理! 戦いとかOKOTOWARI! 当たり前だ。こう見えてもおじさん一般人。カラーテもブラックベルトも持ってません。しがないサラリーマンです!!
 ヘタレで結構。大人は安全な場所で勇気あるものを応援するだけさ。
 GANBARE少女! フレフレ少女!!
 悪魔っぽい竜顔は当然人類の敵だろ! たぶん!!



 でも、そうやって心の中で応援見物していると、少女大ピンチ!!
 悪魔と表現するしかない悪魔っぽい竜ズラにって長いからこれ以後悪魔に吹き飛ばされ、デカイ木にたたきつけられてダウン。
 そこに向けて悪魔さんなんかすごく『必殺』って感じなのを放とうとしてるよ。


 口からすごいビーム撃つよ! って感じで光が集まってるよ。召喚獣みたいでかっこいいよ!!


 ……でもこれは、やばいんじゃね?
 明らかに。大ピンチだよね。やばいよね。俺逃げるべきだよね。巻きこまれないように!!



 そう思った瞬間俺は、走り出していた。



 なんというか、少女の方に。
 なんというかほら、体が勝手に。
 というか女の子のピンチに男の子が見ているだけとか無理! 助けて当然!! なわけない。心の中じゃすっげー怖い! ホントに体が勝手に動いてるレベル! 俺涙目!!

 涙目だろうが体が勝手に動く。少女と悪魔の間に入り、でっかいビームの前に立つ。
 そのまま俺はズボンのポケットに手をいれ、マントのようなものをひっぱりだしていた。
 なにこの行動。白旗でもあげるの!? 自分でもイミフ!!


 でもその瞬間。頭の中に、声が響いた。
『ひらりマント〜』
 ててれてってれー。


 おい、ちょっと待て。


 直後。悪魔の放ったどでかいビームが跳ね返る。
 その背後にいたと思われるその悪魔っぽいやつの主っぽいのと一緒に吹っ飛ばした。

 俺呆然。
 当然呆然。
 なにこれ。なぜに『ひらりマント』? なぜに俺のポケットから?
 俺タダのサラリーマン。ドラえもんなんて会った事もない。
 というかここはどこ? この森って俺知らない場所よそういえば。
 幸い私は誰ではないが……


「……あの……」


 はてなマークをあげまくっている俺に、背後から少女が声をかけてきた。
 びっくー。
 やばい。こういう展開はやばい。俺はタダの一般人。さっきのアレは例外。自意識過剰というわけでもないが、少女の声に答えると次もありそうで嫌だ。
 俺は平穏普通な生活が好きなのだ。
 漫画みたいな生活は漫画を見ているだけでいいのだ。憧れはしたけど、当事者にだけはなりたくない!


「ありがとうございます。助かりました。あの、あなたは……?」


 ビークール!! 冷静に。勤めて冷静にだ俺。
 俺の危険レーダーが言っている。かかわっちゃなんねえと。
 いや、だったら最初から助けないのが一番だったんだけどさ……
 体が勝手に動いたんだから仕方がない。

「おっと、名乗る場合は自分から名乗るべきじゃないのか?」

 ともかく、まず顔は見るな見せるな振り向くな。これ鉄則。俺は頭がさえているからとりあえずこの『ひらりマント』を顔に巻いた。三角にして口と鼻を隠すように。でかくて胸まで隠れたが、まあいい。
 これでOK。
 これでこの少女に再会してもう一度戦いに巻き込まれて……なんて中2も真っ青な展開に突入することはない。
 そして自分からは名乗らない。完璧。完璧だぜ。



 でもね。そんな事関係なしに、驚くんだ。
 だって。



「そ、そうですね。私の名前は桜咲刹那──」


 この先も自己紹介続いているけど、もう聞いてなかったね。
 戦っていた時の姿を思い出す。
 半デコに刀。
 オージーザス。懸命でない俺様でもさすがにもうよくわかったよ。もう説明するのも面倒だね。『ネギま』だね。ここ俺の住んでた世界じゃないね。以下省略でいいよね。
 い、いやいやいや。違うね。希望的観測を捨ててはいけないよ。この子はちょっとコスプレしていただけとか、あれはしーじーとか。ほら……いわゆるドッキリ。ね?
 むしろ、いまさらだけど、これ夢じゃねーのかなー。
 現実逃避って、素敵よね。


「……聞いているのですか?」
「あ、ああ……」


 やばい。冷静に分析(笑)している間に正面にまわられている。
 顔はマントで見えないが目と髪の毛が見えているのがちょっと不安だ。

 ……あれ? 漫画……と認めるのも癪だが、で想像していたより身長大きいな少女。


「それで、あなたは、何者ですか?」


 うわぁい。沈黙してたら刀構えられてるー。
 いわゆるアレだね。俺不審者なわけだね。
 顔もいきなり隠したしね。どう見ても不審者だよね。超不審者だね。
 連行する気満々だね。

 シミュレーション開始!
 素直に色々白状する。→下手するとさっきの事とか認められてスカウトされる。危険いっぱい。よくあるパターン。
 黙秘するorごまかす。→ここで不審者としてたたききられる。

 正直どっちも嫌だ。
 俺ヘタレだから痛いの嫌い危険大嫌い。平穏大好き。
 一般人とか言ってもさっきのアレ(ひらりマント)で信憑性ないしなぁ。つーかなぜこんなの持っているのか俺が知りたい。


「……名乗るほどのものじゃない」

 よし決めた。逃げよう。
 名乗れと言ってこっちは名乗らないとかアレだが逃げるから気にしない。
 俺は、俺は、クールに決めるぜ!

 信じる心は力になると信じて。『ひらりマント』の出てきたポケットに手を入れる。
 こいつが出てきたという事は……
 神様! 信じているよ神様!

 そして俺は、ポケットから帽子を取り出した。
 ……なんか知ってるのとデザインが違って普通の帽子(学生帽っぽい)だったけど!
 お願い神様!


 また、頭の中に声が響いた。
『石ころ帽子〜』
 ててれてってて〜。


 ありがとう神様!!
 そして俺は、ポケットから出てきたその『帽子』をかぶった。


「なっ!?」


 狼狽してる狼狽してる。半デコ少女狼狽中。
 そりゃびっくりするよね。なんでもない帽子をかぶった途端目の前で人が消えたら。
 でも違うのだ。俺のハートはドキドキだけど、目の前にいるのだ。だからお願い。そのままいなくなってね!

 俺はじりじりと、その場を移動する。
 半デコ少女は、しばらく周囲を警戒したが、その後俺を探してか去っていった。
 すげえ。『石ころ帽子』すげえ。

 そしてこの状況が一番すげえ……
 これ、神様に感謝すればいいのかな。怒ればいいのかな?



 怖いので帽子をかぶったまま俺は森を脱出するために歩き出した。




──────



「……消えた?」
「いえ、サーモグラフに反応があります。そこにいます。が、認識が出来ません」
「生命反応も魔力反応も感じない……いや、感じているがいると認識できていないということか」
「はい」
「先ほどの反射といい、他者にその存在を意識させないといい、どれほどの化生だ。夜の散歩もたまには悪くないな」
 闇夜に浮かぶ、二つの人影が、先ほどのやりとりを、空から見ていた。



──────



 森を歩く間に、ポケットを確認する。どうやら、俺が手を突っ込むポケットはすべて四次元ポケットにつながるらしい。
 タバコを吸おうと上着のポケットに手を入れたらスモールライトが出てきてびっくりした。
 驚いた事に、取り出すとその使い方もわかる。どうなってんだ俺。
 だが、これはすごい。この世界がネギまの世界だったとしても、そんな事は関係ない。
 もし。あくまでもしだが(往生際悪いとか言うな)、ここが『ネギま』の世界だったとしても、この未来道具さえあれば、原作なぞ無視して左団扇な生活は確実に可能なはずだ。
 なにせあの『フエール銀行』を使えば10円預けておくだけで1週間で9千万だぜ。ギャンブルより確実に儲かるんだ。もう最高。
 閉じこもりきりでも聞かれたら株でもうけたとか言えば問題ないしな。
 すばらしきかな未来道具。

 うん。そうだ。それがいい。そうしよう。
 安全に仕事もしなくていい平凡な生活。ああ、夢のヒキコモリ生活。楽な老後。なんて素敵な未来道具。
 未来道具による薔薇色の未来に思いをはせ、俺は森を歩く。
 幸い街の光が見えているので迷うことはない。
 鼻歌まで歌っちまうくらいだぜ。

 森を抜けて周囲の安全を確認して、『石ころ帽子』を脱ぐ(『ひらりマント』はタバコを吸おうと思った時ポケットに戻した)
 これでほっと一息。



「おい」



 つけませんでした。
 いきなり背後から声をかけられましたよ。半デコちゃんとは別の声に。
 おかしいね。ちゃんと安全確認したつもりだったけど。
 というか『石ころ帽子』ちゃんと発動してたのか?

 平静を装って振り向く。そこにはちょうど空から着地した二つの人影があった。
 あー。そっか。ロボか。
 なんで即座に声をかけられたかすぐに理解した。
 ロボはだめだよな。ロボは。『俺』じゃなくて『体温』とかを追ってくれば石ころ認識関係ないもんな。だから外すまでは声かけなかったわけか。声は認識出来ないから。
 そして俺の安全確認なんて無駄だよ。
 ロボに金髪幼女だもん。原作キャラだよ。真祖の吸血鬼とロボだよロボ。シロートの安全確認なんかじゃ無駄だよ。なんでこんな連続なんだよ。

 名前は、忘れた。なんだっけな。ロボは個性的だったから覚えてる。でも幼女はなんか汎用人型兵器っぽかったような……
「……たしか、茶々丸と、え、えー……キティ?」
 ロボはお辞儀をしてきた。
「なぜその名を知っているー!」
 幼女は怒った。
 しまった。変なところだけ覚えてたおかげで逆鱗に触れたようだ。


 なんか指をぺきぽきしてる。
 やべ。


 即決!

 →・逃げる!!

 俺へたれなんでせっかくだから逃げるを選ぶぜ!
 タケコプターを使って透明マント使って。はっはー。すげえぜ未来道具。

「なっ!? 魔力も使わずに飛んだだと!? しかも、また消えた!」
「……データ解析不能。今回は発見できません。声だけは聞こえますが……」
「声の方向からさがせ!」
「はい」

 透明マントすごいな。透明マント+石ころ帽子なら今度こそ完全な透明人間だね。存在そのものがなくなるね。


 さて。何度も言うが、俺はヘタレだ。いくら四次元ポケットと未来道具があるからって戦いたいとは思わない。
 道具を持っていても使う俺は一般人なのだ。
 防御が間に合わなければ死んじゃうのだ。

 よって俺は逃げる! ヒキコモリ王に、俺はなる!
 このまま外に出て、原作とはかかわらず生きていけば俺安泰。完璧な人生設計!


 だから、ちょっと調子に乗って相手を馬鹿にしちゃってもしかたないよね。
 あの幼女あの学園から出れないはずだから。
 どうせ2度と会わないと思ってたし。
 幼女状態ならあんまり怖くないはずだし。


「きさまぁぁぁぁぁ!! 絶対に殺してやるー!!」


 ……うん。ちょっとあおりすぎたんだ。
 敷地から脱出したのはいいけど、ぎりぎりですっごい吼えてるんだ。幼女。


「貴様覚えておけ。その面、声は覚えたぞ! 絶対に忘れん! ナギと同じく絶対に、絶対に殺す!!」


 ああ、涙目幼女はかわいい。
 でも、怖い。
 でも、もう2度と会う予定はないから平気。

 だから俺はかっこよく決めて去るんだ。
 最後くらいは姿を現して。


「まだまだだね。キティ」


 気分はテニスのプリンス様! でもポーズは仮面ライダー響鬼!! しゅっ!
 大人になっても中2の心は忘れない。それが俺!!



 ──調子に乗っているとも言う。



 でもこれもまた、あとで後悔するんだ。
 神様俺の事嫌いなんだ。絶対。
 自業自得とは言わないで。




──────




 交番へ行った。
 とりあえず、記憶喪失からはじめよう。俺は異世界人。どうせ戸籍はないんだ。調査されても見つからないはず。
 見つからなければ、施設や行政の方でいろいろしてくれたはずだ。記憶喪失で身元不明と認定されたら仮だが戸籍も作れたはず。俺のいた世界ではだが。
 まあいくらなんでもこっちとあっちが大きく違うなんてないはずだ。
 俺はもう二十歳超えてそろそろ三十路のおっさん。日常生活に支障がなければすぐ自由の身だろう。
 一人暮らしが可能にさえなれば、あとは未来道具で好きに出来る。ふふふふふ。魔法使いがいるという事さえ抜かせば元いた世界と一緒。
 原作なんかとかかわらなきゃそうそう危ない目にもあわないだろう。俺の新しい人生を謳歌するしかない!


 ……というか、もしもボックスがあれば記憶喪失云々なんてする必要なかった。と思い至ったのはかなり後になってからだった。俺アホだね。
 法律知識より便利なものあるのにね。最初にそれ気づいていればね。後悔しても遅いけどさ。



 交番の巡査さんはすごくいい人だった。
 ここはどこでしょう? と聞いて、なにもわからないないんですと泣いて説明したら、親身になってくれた。
 俺の演技力もすばらしいね。

 ああ。このお茶うめぇ。
 巡査さんが色々電話している間に入れてくれたお茶をすする。


「ああ。よかった。君の学生証が出てきたよ」


 お茶を飲んでいたら暑くなったので脱いだ上着を見て、電話中なにか気づいた巡査さんが喜ばしい顔で俺に声をかけてきた。
 新発見。俺以外の人だと、普通のポケットになるのか。これでタバコをとってもらえる……な?
 な、なんか、今、不穏な事いわなかったか?


「これで、君の身元も早くわかるよ。安心しなさい」
 ニコニコしながら、上着のポケットから学生証を取り出しているのが見える。
「は?」

 がくせい、しょう?

「やはり、麻帆良学園の生徒だったね。制服を着ていたからそうだとは思ったけど」
「な?」
 なん。だと……?

 まほらの、生徒? 中学生? そういえば、服がリーマンスーツじゃない! いまさら気づいた!!


「ちょっ! か、鏡を見せてもらってもいいですか!?」
「おお、記憶がよみがえってきたかい?」
 と、壁にかかっている鏡を指差した。


 鏡に駆け寄る俺。


 そこに写っていたのは、男子中学生な俺だった。まさにあの頃。中2でブイブイいわせていた頃の俺がいた。


「なにぃぃぃぃぃぃ!!?」
 半デコ少女が想像より大きかったんじゃない。俺が小さくなっていたのか!!


 みんな、俺一つ勘違いしていたよ。
 これは現実来訪系じゃなくて憑依だったんだよ!
 な、なんだってー!



 自分の姿を見て驚くその姿を見て、巡査は彼に同情した。
 まさか、自分の姿を見て驚くほど、記憶が混乱しているとは。
 がんばりたまえ。私は君の味方だと思うのであった。



 この後俺は連絡を受けた担任教師と寮の寮長とやらが迎えに来た。
 なんか俺、昨日から行方不明だったのだそうだ。

 病院行ったが嘘記憶喪失とはバレなかった。
 当たり前だ。『こいつ』の記憶なんてないんだから。
 記憶以外は日常生活に支障がないので、あとはいつもの生活をして、記憶が戻るのを待つしかないと言われた。
 まあ。戻るわけないと思うが。
 両親は俺が無事だっただけでそれでいい。と言っていた。

 よって俺は、麻帆良の学校へ通うこととなった。
 やばいよ。俺あの幼女に喧嘩売ったままだよ。
 めっちゃやばいよ。

 未来道具があるからって、不意打ちとかされたらどうしようもないよ。



 助けてドラえも〜ん。








 ──YA☆DA★






 ……天の声が聞こえた気がする。






─あとがき─
 思いつきで書いた。
 続く予定はない。

 続いた。




初出2009/02/15 以後修正

[次話][目次][][登録]