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「やんでれ×ユウナっ!」
(第0部)[1/1]

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やんでれ×ユウナっ!

そのいち。




「まったく。女って奴は、みんな馬鹿ばっかだな」


とりあえずそう呟いて、強がってみた。

なんかダークな感じの俺も格好いいだろ?そう考えて俺は節操無しの自分を早々に慰めた。

後悔は何も産まないからだ、うん。


「ちょーろいぜっ♪つよーいぜっ♪ゼーットMA−NN♪」

ハミングしながら俺はパンツをいそいそと履いて、迅速にホテルから出た。

ベッド脇に三万ほど置いといたが足りるだろうか?というかまず、今考えると口止め料という意味で捉えてくれない気もする。

でももうスキャンダルはごめんだ。先月の月刊誌みたいに、また記事にされたら今度こそ刺されかねない。その内アーロンに護衛を頼もう。

俺はパパラッチを警戒しながら試合会場へ向かった。


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「ごうっ!ごうっ!ゆうあんぼげ!」

試合会場に流れ続けるBGMを口づさんでいるキモイ男と対峙する。男はパスしたいらしい。

ブリッツには力はいらない。とか何とか昔の人は言っていたけど、嘘だと思う。ほら、こうやって「ふんっ!」タックルしなきゃいけない場面とか多いじゃんか。痛いの嫌いなのに!


瞬間、観衆がワッとはじけるように騒いだ。

オレが相手から弾いたボールが宙に舞ったからだ。どうやら期待されてるらしい。ヒーローの身分は困る。

「ふっ。ふっ」

フィールド内を昇る。昇る。泳ぐ。場外に飛び出すだけのスピードを乗せないといけない。

場外になるボールを追う。何でそんな無駄な事してるかって言うと、前回新しいシュートを見せると公言してしまったからだ。この前調子に乗ってそんなようなコメントをしてしまったのが原因だ。酒の力が憎い。

ばしゃっ!

飛び出す。外気に触れたブリッツボールは水の粒子を散らばせて、黄金色に輝いているように見えた。

会場のスポットライトを背負ったボール。そして空中でオーバーヘッドシュートのフォームに入る俺。

このツーショットは格好よすぎる。やばい。超キマッテル。きっと今この瞬間会場はカメラのフラッシュの嵐に違いない。これでシュート決めたらイケメンすぎる!うん!絶対決める!


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最近金髪にしたあいつの息子はフィールドから飛び出したボールを追いかけて、同じように勢いよくプールから飛び出した。水しぶきを身にまとって、本当に気持ち良さそうな面して夜空に踊り出しライトの光を一身に受ける金髪のガキとオレは古い付き合いだ。あの小僧が鼻たれだったころから知ってるが生意気なガキという言葉がピタリとはまる。

そいつは重力制御の機械を使って作られた球体のプールから外に飛び出した場外になりかけのクソボール。それで打つシュートを新たな点差に変えるつもりなんだろう。
それは無謀とも言える行い。いわゆるスーパープレイ。そんな物を積極的に狙いに行く気概は良いが、相変わらず自分は何でもできるとでも考えているヒーロー気取りだ。そんな自信過剰な所は親父にそっくりだ。

そんなことを少し笑って、とっくりを傾ける。海の向こうから迫り寄る巨大な怪物の向かいに立つ。

「そうは思わんか?」

とっくりを持った手を空に高く掲げる。怪物となった友に最後の問いを答えを聞くために。

「いいのか、ジェクト。お前の息子は・・・幸せそうだぞ?」

違う選択もあるんじゃないか、という言葉は胸に秘めることにした。

夜の海を走る巨大な生物は何も答えず海面をめり上げてザナルカンドに向かってきたのだ。



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はずせない。真顔になってゴールに意識を集中する。遠く離れた相手キーパーと視線が交差する。水の屈折でキーパーの表情はぐにゃりと歪み、情けない顔になっていた。

それを見て、ふと「勝った」と、そう確信したはずなのにそこで____意識が途切れたんだ。

そうだ。「え?」という間には風景は一変していた。「眠らない街」の代名詞を冠する夜でも轟々と眩しいスタジアムのライトはあらかた壊され、途切れることはなかった歓声は絶叫と悲鳴に変わっていた。

ガララッ

体を起こすと、スタジアムの瓦礫に足が挟まっている事に気が付いた。骨が折れてるんじゃないか?抜けないんじゃないか?とゾッとしたけど無理やり引っ張った所で何とか抜けた。足も軽い捻挫程度で済んだようだった。「よかった」そう呟いた。

その瞬間、近くで大きな物音がした後、蚊の鳴くような小さな悲鳴が上がり、すぐに消える。正直、嫌な予感がした。

そこにはコンクリートの塊が道路に突き刺さっていた。スタジアムの手前に配置されていた男の石像よりも断然大きなスタジアムの客席の欠片。その下に滴る謎の赤い液体がだくだくと地面に染みを作っている。

「ひあ」

思わず声が上がった。自分でもびっくりするような情けない声。頭の中は真っ白だった。尿道に変な刺激を感じたのだけがなんかリアルだと感じた。あっけない。なんてあっけない。あれ?オレはなに考えてる。

「いや、これくらい起きるだろう。こんなでかい地震起きたんだから」そうだ。だから安全な場所に逃げなきゃ。いや救急車が先?怪我人優先。あれ?なにかおかしいな。

とりあえず深呼吸をする。しながら、自分の体にのっかった瓦礫をゆっくりどかした。腰とか痛めてたら洒落にならん!とか考えてたけど大丈夫らしい。あの高さから落ちたのに、五体満足だ。自分はきっと神様に愛されてるんだと思う。

「おい」

そんな事を考えてたら頭上からムサい声がした。聞こえないフリをする。この大惨事だ。聞き覚えのありすぎる声だが無視して、避難所に駆け込もう。駆け込むべきだ。俺は走りだした。

がっ!「待て」

「怯えるな」

「捕まった。オッサンに捕まった。やっぱりこのオッサンはいつも厄介事を運んでくるらしいよ!」

「助けてやったのにその言い草か。良いから黙って着いてこい」

「知ってるよ馬鹿!ロリコンの癖にすましてんじゃねえ!今までどこ行ってたんだっつーの!この二ヶ月俺がどんだけあんた探したと思う!?ああん!?こんな時だけ颯爽と登場とかあんた狙ってるだろ!俺が女なら濡れてるぞ!」

「ふっ」

アーロンはやっぱりすかした笑いを浮かべた。この年齢でいまだに格好付けてるこのオッサンはやはりイタイ人だと思う。

「ちくしょう。このオタンコナス」

俺はしぶしぶアーロンの背中を追った。

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人が目の前で死んでいく様にビクビクしたと思えば一目散に走りだす。そんな柄にもなく恐怖の色を瞳に乗せて死という現実から文字通り逃避する事しかできないその様子はあまりに学生らしい当然の反応だ。オレはそれを責める気はなかった。

こちらの世界ではあの位の年頃の子どもが他者や身内の死に慣れているなんて事はそうそう無い。死との関わり方を知らず、また拒否しているのがこの世界だ。
それは町にたかが一匹魔物が入り込んだだけでオロオロする事しかできない大人に、へっぴり腰の警察官ばかりを育てることになってしまうが、その辺りの生ぬるさは社会として本来褒められるべきものなのだろう。

だがこれからは違う。そんな生ぬるい事言ってられる場合では無い。オレも、こいつも。

「使え」

万感の思いを乗せて、ティーダに剣を持たせる。

突然ザナルカンドに現れた巨大生物。そこから生み出されるエイリアンと突然戦え、と言われる。

コイツの目から見た今の状況はそんな夢物語のようなものだろう。理不尽だと感じてるかもしれない。突然自分の日常を奪い取られた怒りもまだ感じていられる状況ではない。目をパチクリさせてやがる。

「お・・・思ったよりも軽いな」

だが、約束を守るために、それでもオレはこいつを死地にやる。オレがティーダにこれからやろうとしている事を、こいつも、こいつの母もきっと俺を許しはしないだろう。ああ、罪は死後に償おう。


「ジェクトの物だ」

「親父の!?ばっちい物持たせんな!」

「いきなり剣を持たした事より、そっちに驚くとはな」

「うっさい!来るぞアーロン!」

「いきがるな」

「楽勝だっての!見てろ!」


だが、まあ。

こいつなら、と思うのは親バカという奴だろうか。








あとがき


※FF10の二次創作です。本編とはキャラの性格がかなり違っております。恐らくこれからは下ネタも多く、倫理感が欠如した描写をします。危険だと感じたら回避してください。


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