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「天地創造(仮題)」
(第0部)[1/1]

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アリーナ×クリフト。勇者×ミネア。ライアン×マーニャ。

この言葉は導かれし者達の恋愛関係を指している。
宿屋に泊まれば彼らはそれぞれ部屋にこもり、出てこない。尋ねてもドアを開けない。反応が無い。
壁から聞こえるベッドの揺れる音と喘ぎ声が余り物のブライとトルネコを苦しめる。
「ブライ殿・・もう20泊ぐらいしてますかな・・?」
ため息まじりにブライに話し掛けるトルネコの顔は深刻だ。
色濃い酒の入ったグラスを口元に傾け流し込み、窓に広がる景色を遠い目で眺めながらブライは呟いた。
「23泊じゃよトルネコ殿」
少しの沈黙の後、トルネコは青ざめながらも決意じみた目でブライに話し掛ける。
「・・・これから私が話す事は尋常ではありません。許すことが出来ないならば私に遠慮なくバシルーラを放って下さい」
「トル・・・」
トルネコはブライの声を押し潰し、続けた。
「私はもう・・耐えられない・・!若者達に馬鹿にされ邪魔者扱いされて旅をしていくのが!奴隷のように扱われ、虐げられるのが!私にはもう・・・耐えられないのです!!」
興奮した面持ちでブライに迫るトルネコ。ぶわっと溢れる涙は鼻水。さらに唾液と混合され糸を引きながらゆっくりと地面に垂れる。
トルネコは息を吸い大きく叫んだ。
「私にもプライドがある!!私は、彼らが憎い!!」
膝をつくトルネコ。
「トルネコ殿・・・」
ブライはそう呟くとベッドの下から銀色に輝く巨大な剣を取り出した。
間を置き、ブライはゆっくりと語り始めた・・・。
「この剣はライアンの奴が使っている剣じゃ。ワシはよく装備品の手入れをやらされているのはそなたも知っているはず・・・」
「今の生活を変えようとする事・・・。それだけに限らず“変化させる事”というのは誰にとっても勇気のいる事じゃ。たぶん何よりも・・・。 でもその勇気が己を進化させていくのじゃ。」
そういってブライはトルネコに剣を渡した。
「トルネコ殿はただきっかけを求めているのだと思うのじゃ。そして、なにがきっかけなのかもわかっている。 ・・・その剣の名ははぐれメタルの剣。あらゆるものを切り裂き、人の運命から時代をも動かす力を持つ王者の剣。
そなたがその剣を前進の意思の象徴と信じ、勇気の一歩を踏み出すための力とさせたならば・・・そなたの未来は必ず開くでしょう。
・・・・・・ワシはそなたをいつも慕っておりましたよ・・・」
トルネコは最後の言葉を聞くとブライに迫り唇を激しく奪った。乾ききったブライの口内が唾液で濡れていく。頬が熱くなる。
髭の刺さり具合が心地良い。体が密着する感覚。歯の裏側のザラつき。鼻腔から放つ匂いに燃える。全ての感覚が猛烈な快感となる。
今、互いの舌はどんな風よりも力強い激しい嵐。唸る嵐が他のあらゆる音を消し去る。

時間が止まる。
二人だけの時間。こんなに近くにいた大切な人。ずっとこうしていたい・・・。

二人の秘め事はやがて幕を閉じる。4時間ぐらい経っただろうか。窓の外は漆黒の闇。行動を起こすには申し分の無い時間だ。
「ハーハー・・行きますかブライ殿・・・」
トルネコははぐれメタルの剣を。ブライは天罰の杖を手にとり、裸のまま廊下に出る。不思議と震えは無い。
ブライは大きめに足を開き、両手をあげ、カッと目を見開く。
「鬼神、魔神、死神、ありとあらゆる地獄の神よ!!我が友トルネコにそなた達の猛き力を!!ババババイキルト!!!」
光がトルネコを包む。
「フォオオオオオオオオオウオオオオオオオッオォ!!!!」
廊下に響き渡る咆哮。
二人は隣のクリフトとアリーナが泊まる部屋に立つ。
「いくぞ!!トルネコ!!!全ての生き物を蹂躙し、殺し、ワシ達の世界を作るのじゃ!!!」
「アー」
モンスターにも似た形相でトルネコは答えた。


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