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「(盗まれた名声と自由)番外編」
(第0部)[1/1]

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最近ジュノに新しく総合料理店が経営を始めた。
喫茶・レストラン・居酒屋等、ここのメニューはジュノでも5本の指に入る大きい料理店である。
従業員も数十人とカナリ規模が大きい。
味もソコソコ、かなり人気の高い店である。
しかし、ここに来る客の大半がこの店のオーナーの娘が目当てダッタリするのだ。
この店の看板娘はこうも呼ばれていた。
『赤の女神』と……

(盗まれた名声と自由)番外編
『ウエイトレスな魔道士様』

プロローグ

「うう、つかれたぁー」
今日は丸一日ウェイトレスなんぞをやらされてくたっくた
私はベッドにうつ伏せになる。
まぁ、以前やってた仕事よりは遥かに楽といえば楽。
とはいえ慣れない仕事で注文間違えるわ皿割るわで挙句の果てにオーナーであるおばさんに怒鳴られる始末……
ベッドから起き上がり胡坐を組みつつ、ふと飾り棚に置いてある『ある物』を眺めひと言……
「これでよかったのかねぇ」
まあ、『赤の女神』って呼ばれて悪い気はしないけど……
オーナーも働いてる皆もおそらく、満足してるのだろうが何か物足りない……
もの思いにふけっているとオーナーであるおばさんが部屋に入ってくる。
「お客さんだよ」
私に?お客さんかな?
誰だろう?ここに着てから知り合いなんてそんなにいないのだが?
「一階の喫茶で待ってもらってるからね」
おばさんはそういうと部屋を出て行く。
誰だろうと悩みつつも身支度をし喫茶に向かうことにする。
喫茶は今ランチタイム、昼食を摂ってる人たちで賑わっている。
「ああ、お嬢3番テーブルに居られますよ。」
「その呼び方もう止めてっていったでしょーが」
にっこり微笑みテーブルを指差すマスター
「まったく」
せめてお嬢様とか呼べないのかねぇ……
頭をぼりぼり掻きながら指定されたテーブルに向かう私。
テーブルにこしかけ
「何か御用でしょうか、お客様」
白色の鎧を身にまとった金髪の男性―――私はこの男性に面識があった。
「よう、久しぶりだな」
じっとこちらを見つめつつ
「ほほう、髪を伸ばしたのか、見違えたな」
ちょこっと照れてみせる私。
「どうしたの?何かあったの?」
彼は耳打でこういってきた。
「親父さんのことで分かったことがある。今から団長の所まで着てくれ。」
この半年分からなかった、親父の情報が流れてきたらしい。
「分かったすぐ支度するから待っててね。セイバー」
私はスグにおばさんに連絡し部屋の飾り棚に置いてある『ある物』を身につけ部屋を出る。
物足りなかったのってヤッパリこれなんだな。
「じゃあチョット出かけてくるよ。」
なぜかお客から歓声が上がる。
「おお、赤の女神だ。」
恥かしいからそそくさと店を出る私たち二人。
「有名人。」
指差し笑うセイバー
「うざったいだけよ」
―――ジュノ大公から謝罪を受けてから一年経っていた。
この店もジュノ大公から頂いた物……そして私たちコンシュタッドに住んでいた住人全員に、ジュノ永住権まで頂いた。
実は、ここで働いている従業員全員元コンシュタッドの住人なのだ。
この店が軌道に乗る間私は単独で、親父の情報収集の為各国々を旅してきたのだがその内なぜか『赤の女神』と呼ばれるようになっていた。
まぁその時の冒険談はいずれ話そうと思う。
「でその情報を持ってきたのはロッド?ショーテル?」
私は彼らの冒険団体に親父情報のことを頼んでいた。
「いや、あいつらじゃない俺たちの仲間の一人が持ってきたんだよ。その情報」
「じゃあ、早速会いに行きましょう。」
私たちは団長たちのいる宿舎に足を進めた。

第一章
「リトルサマナー」


簡単に仲間が集まるほど世の中甘くは無い。
なので冒険者立ちは大規模な冒険団に所属しそこで
仲間を募ったり助け合ったり情報交換しあったりする。
そして……
気のあった冒険者たちが小規模なチームを組み
冒険を有利に進めていく。
冒険者達はこの小規模なチームのことをパーティーと呼ぶ。




冒険団宿舎に着いた私たち二人は適当に体を休める。
まだ他の団員さんたちはきてないみたいだ。
「で、なぁーんでウエイトレスなんかやってるんだ?」
テーブルに腰掛けて首を傾げるセイバー。
「しょーがないでしょ?料理屋なんだから。」
私は椅子にまたがり背もたれを両手で抱え込み
「料理できないし……」
「え?クリスタル使えばいいじゃないか?」
セイバーの問いに私は答える事にする。
そう、クリスタルを使えばいろいろな物を作ることができる。
『合成』
様々なクリスタルを媒体に、別の物質を作り出す技術。
武器・防具・その他アイテムなど等勿論料理もこの技術で作り出すことができる。
合成には様々な種類があり鍛冶・木工・錬金術などそれぞれのギルドで学び習得していくわけなのだが。
生憎ワーパーである私は、モッパラそういう材料やクリスタルは合成に使わず全て売りさばいていたから合成に関しては、全くの素人なのである。
仮に料理の合成が出来たとしても、合成で作った料理は特殊な物ばかりなのである。
その料理を食べれば一時的に能力が上がる物など魔力の篭った料理が殆どなのだ。
合成料理は冒険者の為だけのものに等しくしたがって一般人が気軽に食べれるほど安価ではない。
そんな物一般の料理屋のメニューにしても売れるはずがない。
おまけに人様に食べさせるほどの普通の料理さえ作ることが出来なかったりする。
というわけで私はウエイトレスをやってるのだ。
「なるほどね。しっかし似合わないよなぁ。ウエイトレス」
ヒョイとテーブルから飛び降りこちらを覗き込むセイバー
「うるさいわね。私だってやりたかないわよ。」
私は椅子を揺らしながら
「モンスターどつきまわしてアイテムぶんどってたほうが気が楽でいいね。気使わないでいいし」
セイバーはうんうんと頷き
「ソッチの方が似合ってるよなぁ。」
いや、そこで納得されても困るのだけれど……
「で、最近ソッチの方はやってるのかい?」
私の身につけてる『ある物』を指差すセイバー
「ここ数ヶ月やってないなぁ。」
鞘から剣を抜きまじまじと眺める……
最近情報が無かったからズット店の方ばっかりだった。
「あれ?お前まだそれ使ってたのか?」
私は椅子から立ち上がり数回剣を振る。
その太刀からは紅蓮の炎が舞い上がる。
「おーちゃんと使いこなせてるじゃないか。」
セイバーはポンポンと手のひらを叩いて見せた。
「まぁね、これのおかげで随分と助かったよ。」
私の愛剣『フレイムソード』
何度も何度も私の命を救った魔法剣。
実を言うと『赤の女神』と呼ばれている意味は、この剣を持っていることと私が『赤魔道士』であることからから、そう呼ばれるようになったのだ。
鞘に剣を収め部屋から窓の外を眺める。
「ただいまー」
玄関のドアがの鈴がカランカランと鳴り響く。
入り口から二人宿舎に入ってきた。
ミスラとタルタルの二人ずれ……食事のためにここにいなかったのだけれど。
「あれ?お客さんですか?」
ミスラは来ていたフードを壁にかける。
「ヘー珍しいねお客さんって」
セイバーのところにトコトコと歩み寄るタルタル。
「おっひさしぶりぃー」
私はぶんぶんと手を二人に向けて振る。
「え?誰?誰?」
二人はこちらに近寄ってまじまじと私の顔を見つつひと言
「誰だっけ?」
首を傾げてる二人に長く伸ばした両手でかきあげて束ね二人に顔を近づけて見せた。
「これでどう?ショーテル、ロッド」
そういうと二人の顔が驚きの表情に変っていった。
「レイピアさん?」
ショーテルがポツリと私の名を呼ぶ
コクコクと頷き束ねた髪を元に戻し整える。
「髪伸ばしてたんだ、ゼンゼン分からなかった」
ロッドはテーブルの上で飛び跳ねている。
「でもなんで又こんなところに?」
私が冒険団の宿舎にいるのかが疑問なショーテル達に今までの経緯を簡単に説明することにした。

第一章
「リトルサマナーその2」


世の中大半のことに絡んでくる金……
金は人の人生を大きく左右させてしまうくらいの魔力を持ってるといっても過言ではない。
この世に金が無かったらいいのに……
誰もがおそらく思うかもしれないのだが……
しかし金が無かったらなかったで自給自足しなければ生きてゆけないだろう。
もしかしたら法律などで強制労働を強いられるかもしれない。
まぁワーパーの私から言わせれば金があろうが無かろうが、『働かざる物食うべからず』である。


「ううううぅ」
三人の頭にタンコブが一つずつ。
ウエイトレスが似合わないと皆笑い転げてたから
剣の柄で小突いてやったのだ。
「で肝心の情報は?」
剣お鞘に収めつつセイバーを皆をにらめつける私。
「さっきリンクシェルから連絡が無かったか?」
セイバーの問いに身につけてなかったことを伝える。
「じゃあ早速身につけてくれ」
身につけたとたん声が聞こえてきた。
ジュノのポートに着いたからスグに向かうらしい。
甲高い男性の声だ。
声の主から言っておそらくロッドと同じタルタル族だろう。
紅茶をすすりつつ待つこと数分。
―――カランカラン―――
宿舎の扉が開く。
そしてそこには一匹の子犬いるだけ。
青白く光っており額にルビーらしき宝石が埋まっている。魔物なのか?それにしても……
「可愛いー。」
私はおもむろに抱き上げる。
誰かのペットなんだろうかなどと考えていると……
―――ペットじゃないよ―――
「え?何……誰かなんか言った?」
空耳か?
私の問いかけにきょとんとする三人。
ひょっとしてこの子犬が?
まじまじと子犬を眺める私。
―――子犬でもないぞ―――
うわ!又聞こえてきた。空耳じゃないよこれ……
そして抱き上げていたそれは音もなくスぅーと消えていく―――
「あらら、先にこっちに着いちゃってたか。」
先ほどリンクシェルから聞こえて来ていた男性の声。
入り口には一人のタルタルが立っていた。
「遅れてごめん、デビって言います。よろしくね。」
私は先程の現象で目が点になっていた。
「そいつね、カーバンクルっていうんだよ。」
カーバンクル?
「それって確か召喚獣?じゃあ、貴方はもしかして!」
彼はフードを脱ぎながら
「うん、召喚士」
ふーん……タルタルだからリトルサマナーってところかなぁ。
『召喚士』
数々の召喚獣を僕とする職業なのだが……
「じゃあ色々と召喚獣呼び出せるのね?」
すごーい召喚士初めて見たよ。感激!
「んにゃ、その子しかまだおらん。なり立てだもん」
……新米さんなのか……
「でもな」
セイバーがデビの頭をポンポン叩きながら
「お前さんの先輩なんだぜ?」
じゃあひょっとして?
「赤魔道士?」
私の問いにデビはこくりと頷く
話によると彼は赤魔道士の魔法を殆ど会得したらしい。
「うん、殆ど会得したんだけど……」
その後の彼の言葉に驚愕した―――
「どうやら赤の魔法にはまだ別な物があるらしい」
「それが君のお父さんに関係があるかもしれないよ」
……ありえないほどの破壊力を持った赤の秘術……
それを使えば地形が変ってしまうとも言われているらしいのだ。
「ずばり、君の父上も赤魔道士だったらしいよ」
デビの言葉に更に驚く。
どうやら彼の知り合いが親父と面識があったらしい。
その時に親父は紛れも無い魔法剣の術を使ってたというのだ。
「でも、それとその秘術って関係があるの?」
私の疑問にデビが答える。
……推測に過ぎないが100体のクゥダフ相手にたった一人でまともに戦えるのか……
赤魔道士には範囲系攻撃魔法は無い。
おまけに親父は戦士系。
だとすると秘術を使った可能性があるかもしれないというのだ。
「で、その秘術って?」
「ずばり、魔力暴発」
デビはそう答えた。
『マジックバースト』
魔力と魔力の衝突で稀に起こる大爆発。
―――しかしどうやって―――
「取り合えずクフィムのデルクフにその古い書物があるって聞いたから」
デビは紅茶をすすりながら答えた。
「じゃあクフィムにいってみる。」
私は早速支度を始める。
「僕も行く。君の戦いに興味あるし。」
デビも支度を始めた。
秘術―――
一体どんな呪文なのか。
親父との関係があるのか。

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