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「【チラシ板より移転】ダイとレオナにそれぞれ双子の兄と妹がいたらな話【ダイの大冒険】」
(第0部)[1/1]

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ノーマルなダイ×レオナと性別反転なレオナ×ダイが両方同時にできれば、楽しいんじゃないかと思いました(私が
そんな考えがきっかけで書き始めた話ですが、よろしくお願いします

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「ふぁ……今日もいい天気」

日向ぼっこをしながら、あたしはあくびを一つ。
このまま瞳を閉じたら、気持ちよく眠れそう。
一緒に日向ぼっこをしているサーベルタイガーのプックルちゃんに寄りかかる。
と、そのお腹がふわふわモコモコで余計に気持ちよくって、とっても眠たくなってきてしまう。
……うん、このままお昼寝しよう。
そう思ってあたしは瞳を閉じ……ようとしたのだけれど。

「ディア、ディアー!」

あたしの名前を呼ぶ声。
……どうやらじいちゃんに探されているみたい。
せっかくお昼寝しようと思ったのに。
少しだけ残念に思いながらも、あたしは起きあがってじいちゃんの声のする方へと向かう。

「はーい、何じいちゃん」

あたしが返事をすると、じいちゃんがこっちを向いて……ため息を一つ。
むぅ、何がいけなかったんだろう。
……あくびかな?眠たくって目をこすってたことかな?

「……ディア、お前はまだ起きてから一時間もたってないじゃろう」

どうやら両方みたい。
でもそんなこと言われても、眠たいものは眠たいのだからしかたないじゃない。

「まぁ、いいじゃろう。それよりそろそろ魔法の修行の時間じゃぞ」

そこまで言ってじいちゃんは辺りをキョロキョロ。
でも探してる姿は見えなくって、もう一度ため息。

「ダイを呼んできてくれんか」

じいちゃんの魔法の修行の時間に、お兄ちゃんがどこかに行っているのはいつものこと。
そしてあたしがじいちゃんに頼まれて、お兄ちゃんを探しに行くことになるのもいつものこと。
だから、じいちゃんの言葉を最後まで聞かずに、あたしは歩き出す。
……お兄ちゃんを無事に呼んでこれた事なんて殆どなかったりするけれど。
今日はちゃんと呼んでこれるかな?
そんな事を考えながら、真っ直ぐに歩いて森の出口を-その先に広がる白い砂浜を目指す。

……あたし達が暮らしているのは、デルムリン島っていう小さな島で、あたし達以外はモンスターしか住んでいない。
どうしてモンスターだらけの島に、あたしとお兄ちゃん、二人だけ人間がいるのか。
12年ほど前のある朝、海岸を散歩していたじいちゃんは、浜に見慣れない小舟を見つけた。
一体何だろうと、近くまで行って覗き込んでみれば……そこには男の子と女の子、二人の赤ちゃんが眠っていた。
勿論その赤ちゃんとは、あたしとお兄ちゃんのこと。
あたし達を拾った前の晩は酷い嵐だったそうで、二人が元々乗っていた船はその嵐で沈んでしまったんじゃないか。
と、じいちゃんがいつだったかそう話してくれた。
ここはモンスターだけが暮らす島。
だからもちろん、あたし達を拾って育ててくれたじいちゃんもモンスターだ。
名前はブラスで、種族は鬼面道士。
ちょっと厳しいところもあるけれど、すごく優しくて大好きな、あたし達のじいちゃん。
他にもサーベルタイガーのプックルちゃんや、スライムのスラリン。
それからホイミンにメッキーに……大好きなお友達も沢山いる。
だから、あたしはこの島が大好きだし、お父さんとお母さんには会えなくても寂しくなんてない。
それはきっとお兄ちゃんも同じだと思う。

「はぅ、……つかれた」

森を出る一歩手前で、あたしは立ち止まる。
それから適当な木陰を見つけて一休み。
だってもう10分は歩いているんだもの。
足がくたくたになっちゃう。
……お兄ちゃんもじいちゃんも、『それはいくらなんでも体力が無さすぎるんじゃ』って言うけれど、そんなことないもん。
お兄ちゃん以外に比較する人はいないけれど、これが普通の人間だよ。多分。

「島の外って、どんなところなんだろ」

そうぽつりと呟いて、一月ほど前の出来事に思いを馳せる。
この島にあたし達以外の人間が来たのは、あの時が初めてだった。
その人たちは島のモンスターを拐いにきた悪い人達だったのだけど、お兄ちゃんはその人たちに拐われたゴメちゃんを取り戻すために島の外へと出ていったのだ。
……あたしはお留守番って置いていかれちゃったのだけど。
だから、あたしは島の外がどんなところなのか知らない。
この島も、みんなも、大好き。
だけど、

「あたしも、一度くらいは外へ行ってみたいなぁ」

一言、ぽつりと呟いてから立ち上がる。
本当はもう少し休みたいのだけど、あまり遅くなるとじいちゃん、怒るし。
そんなわけで、さくさくと歩みを再開して森を抜ける。
と、とたんに目の前に広がる海と青空。
そしてそれを眺めるようにして座る、2つの影。
一つはお兄ちゃんで、もう一つはゴメちゃん。
ゴメちゃんは翼の生えた金色のスライムで、とっても珍しいモンスターらしい。
だからさっき話した"悪い人達"はゴメちゃんを拐いにきたのだそうだ。
そのゴメちゃんは特にお兄ちゃんと仲がよくって、いつも一緒にいる。
……たまにはあたしと一緒にいてくれてもいいのに。

「お兄ちゃん!」

少しだけそんなことを考えながらも、ここにきた目的を果たそうと、お兄ちゃんのことを呼ぶ。
……のだけど。

「やだ」

振り向きもせずにお兄ちゃんはそう言った。
……実は言うと、お兄ちゃんのこの反応は少しだけ予想できていた。
だって、お兄ちゃん。魔法の修行嫌いなんだもん。

「ディアはいいよな。魔法が得意で」

ぽつり、お兄ちゃんが言葉をもらす。
……あたしとお兄ちゃんは双子。
髪の色も瞳の色も、それから身長だっておんなじ。
だけどもちろん違うところだってある。
というか、違うところの方が多いはず。
まず、あたしは女の子でお兄ちゃんは男の子。
あたしは走るのは苦手で、お兄ちゃんは走るのは得意。
あたしは髪が長くてお兄ちゃんは短い髪。
でも二人とも癖っ毛。
それから、あたしは魔法が得意で、お兄ちゃんは魔法ができない。

「お兄ちゃんも頑張れば……」「無理。できない」

ほっぺたを膨らませるお兄ちゃんにダメもとで言ってみる。
けれど予想通りというか何て言うか。
投げやりな諦めが返ってくるだけ。
……お兄ちゃんってば、普段は前向きすぎるくらいに前向きなのに、魔法のことになると直ぐに後ろ向きになるんだから。

「……ディアは魔法が得意っていうより、ちょっとおかしいよな」

おまけにこんな言葉まで。
ひどい。あたし、おかしくないもん!

「だって、普通は契約しなくちゃ魔法って使えないんだろ?それが全部"契約済"になっちゃってるなんて……やっぱりおかしい」

魔法の契約の方法はとっても簡単。
地面に契約の魔方陣を描いて、その中で意識を集中させて、それから精霊に祈る。
ただそれだけ。
だけど魔法……というか、精霊には相性があって、それがあわなければ契約には成功しない。
契約に成功しなければその魔法は絶対に使えない。
じいちゃんは、あたしとお兄ちゃんを魔法使いにしたいらしくって色々な呪文の契約をさせた。
……だけど、あたしは全部の魔法が契約済みになっていた。
……全部って言っても、じいちゃんが持っている魔導書に載っているものだけだから、じいちゃんが知らない魔法の中には契約してないものもあるかもしれないし。
それに、契約できた……というか、できている呪文でも、使えないものだってあるもの。
契約ができても、すぐには使えない魔法もある。
それはまだレベルが足りないからだって、じいちゃんが言ってた。

「お兄ちゃんだって契約には成功したじゃない。修行すれば使えるようになるよ!」
「……そうだね」

言ってお兄ちゃんは立ち上がる。
あれ、修行する気になったのかな?
正直、"いや"って言われると思っていたんだけど。
でも、これで今日はお兄ちゃんを呼ぶのを成功できる!
そう思ったのに、ようやくこちらを振り返ったお兄ちゃんの顔に浮かんでいたのは、いたずらっぽい笑みだった。
あ、すっごくやな予感。

「じゃ、おれは修行してくる!」

短く言って、お兄ちゃんは駆け出していく。
……じいちゃんの待っている家とは全然別の方向に。

「まって、家はそっちじゃ」
「おれは勇者になるための修行を頑張るってじいちゃんに伝えておいて!」

慌てて声をかければ返ってくるのはあまりにもあまりな答え。
ずるい。
お兄ちゃんってば遊びにいくつもりだ。
だってお兄ちゃんの言う"勇者になるための修行"って、みんなと勇者ごっこして遊ぶだけだもん!
……あたしは魔法の修行は嫌いじゃないし、魔法使いになるのだって嫌じゃない。
だけど……あたしだってみんなと遊ぶ方が好き!

「ディアも一緒に行こうよ。勇者の仲間の魔法使いと、勇者に助け出されるお姫さまとどっちがいい?もちろん別の役でもいいけど」
「……お姫さまはこの前やったから、今日は魔法使い!」

だから、そうやって誘われたらもう頷くしかない!
……じいちゃんには後で怒られるかもしれない。
でも、お兄ちゃんも一緒だから大丈夫!

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