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「好きなもの」
(第1部)[1/1]

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「あぁ……明日が楽しみ……俺、今日も頑張った!」

「お前ほんと好きよな」

どことなく呆れた雰囲気で笑う隣の友人に、俺は目を見開いた。

「いや、いやいや!寧ちゃんの可愛らしさ……『らびりんず』の素晴らしさがわからない男がいるなんて……」

「確かに可愛いけどマイナーじゃん?俺は月坂のほうが好き」

「わかってない、わかってないよ夏彦君さぁ」

彼が大手グループを好きになるのは自由だが、らびりんずはそんな一言で片付けてはいけない。
俺は夏彦の肩に手を回した。

彼女達の歩んだ軌跡を語ろう。
そうして見た彼の顔は、めんどくさいを全面に出した嫌そうなものだった。

以前別の友人にこう言われたことがある。

『あのさ、らびりんずの話する時だけウザいよ?』

その一言を口にした彼は、いつもの優しさなんぞ全て消えた冷ややかな目をしていた。

この出来事によって、俺は嬉々として行っていた今までのらびりんず布教活動を、客観的な視点で思い出すことが出来たのだ。

お昼休みの教室、グッズを見せながら鼻息荒く説明する俺の顔は迫力満点、どこか上からな発言は不快感マックス。

まさに『嫌なアイドルオタク』の典型となっていた。

そうした一件もあって自分なりに反省はしていたものの、明日のライブが楽しみで浮かれていたようだ。

「ごめん……」

「お、おう。まぁお前の好きは伝わったわ……」

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