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「錆びた風の吹く星」
(第0部)[1/1]

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昔、戦争があった。

星を渡る技術で栄えた帝国と、その反抗組織から国家となるまで成長した惑星連盟の戦争は星々を巻き込み何年も、何十年も続いたらしい……。


いつ戦争が終わったのか、はたまたまだ戦争をしているのかは俺にはわからないが、この資源惑星FR40553通称”ラストコースト”では誰も気にしていないのだろう。


戦争初期に帝国がばら蒔いた無人兵器とナノマシンの変異によって、日々人間を脅かす機械の化物”カース”を防ぎながら人々はコロニーを作り暮らしている。

元々は連盟の生き残りとか採掘技術者達の集まりだったって話だが、生きる事にみんな必死だ。


この錆びた惑星で……







宇宙歴 4063年 スクラップヤード


砂嵐のように錆びた金属を帯びた風がヘルメットのバイザーを叩く。
「今日はまだ荒れるって予報は無かったはずなんだが……。ギルドの予報もあてにならないな、まったく。」
ため息混じりに一人愚痴る俺に聞き慣れた声が響く。
「そんな事言ったって天気が良くなる訳じゃないんだから、さっさと仕事を済ませて帰りましょうよ。私達スカベンジャーは毎日の積み重ねが大事ってドンも良く言ってるじゃない。ねぇ?ナイン。」
俺とコンビでスカベンジャー(廃品漁り)をやってるリァンの声になんとなく不満気にこぼす。
「私達ね……デッキから通信してるリァンに言われるのはなんか納得いかない気分だ。」
「はいはい、アームスーツの整備もパーツの仕入れもしてるリァンさんに文句があるってんなら次からは生身で探索にいくのね。」
「そこまでは言ってないさ。……おっ、前方約20m2時の方向に感あり。詳細スキャン頼む。」
鋼鉄と生体金属を組み合わせた全身外骨格”アームスーツ”は、この星で外を往くには必須な装備でセンサーや通信、武装まで可能な万能兵器だ。
人よりも力強く頑丈でこの星では大抵の作業を賄ってくれている。
「ラッキーね!この大きさの反応ならもしかしたらテックもあるかも!」
軽い電子音と共にリァンが送ってくれた詳細スキャン情報を見つめる。直径5m円筒型の金属反応……機械部品”テック”が無くても充分換金出来そうな大きさ。
(ツイてるな。!?)
もう目に見える距離まで近付いた俺に、風の音以外の金切り音が聴こえた。
「カースだ!数は2!方向は不明!!」
鉄と鉄とを擦り合わせるような音と共にセンサーが激しく反応する。
「3時から1!その後方2時からもう1つ!距離は後10m!!」
リァンのナビに反射的に構える12.7mmライフルの安全装置を解除、砂から飛び出たカースの頭に銃弾を浴びせる!
「チッ!こんなに近付いてやがったか!!」
一体目の体をバラバラに引き裂いてもう一体を狙うも間合いを詰められ過ぎた、左の高振動ブレードを袈裟に振るう。
「キィィィィァァァァァ!!」
カースの体をブレードが叩き切ると断末魔なのか甲高い金属音を響かせてミミズのような体躯が燃え出す。
帝国の無人兵器とナノマシンが合わさって狂った化物、カース。コアが行動不能と判断すると自壊する化物が燃え尽き、辺りは風の音だけに戻った。
「ナイン!大丈夫!?怪我はない!?」
リァンからの心配する声に集中してた感覚が凪いでいく。
「ああ、大丈夫だ。この嵐のせいで接近に気付くのが遅れた、焦ったな。」
「ええ、動体センサーがあんまり利かない分ナインの耳が頼りよ。回収まで気を抜かないで。」
カースの破片で使えそうな物を拾い、目的の金属塊を自走コンテナに繋ぎ一路我が家たるデッキに帰る。
「やっぱこんな天気の時は遠出するもんじゃないな。命が幾つ有っても足りない。」
「それでも、ご飯を食べる為には仕方ないわ。なるべく危険を犯さずにこつこつやってきましょう。」

何にせよ今回はなかなかの収穫だった、と思う。中身を開けなきゃはっきりはしないけれど、今日も生き延びれる。

この錆びた惑星で


第一話 ラストコースト


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